記事監修医師
前田 裕斗 先生
2017/9/25 記事改定日: 2018/4/9
記事改定回数:1回
記事監修医師
前田 裕斗 先生
腟カンジダ症は、薬の使用で比較的簡単に治療することができますが、再発を繰り返すこともあります。今回の記事では、再発の原因と予防について解説します。また、市販薬での治療についても詳しく解説しているので参考にしてください。
再発を繰り返す腟カンジダでも、軽度なものであれば市販薬で治すことができます。市販薬は主に腟の中に直接挿入する錠剤と塗り薬があります。
しかし、妊娠中や授乳中の人、持病がある人、何らかの薬を使用している人、過去に副作用があった人は自己判断で使用せずに必ず医師に相談してから使用しましょう。
腟全体に有効成分を行きわたらせることができ、効果が高い薬です。白くボロボロとしたおりものが出るなど、カンジダに特有の症状がある場合には腟錠を選びましょう。
市販のものでは、スリムな形が特徴のフェミニーナ®腟カンジダ錠や、使い捨てのアプリケーターに錠剤がセットされたフレディ®CCなどが有名です。どれも自分で挿入しやすいように工夫されていますが、いくつか試してみて、使いやすいものを選ぶとよいでしょう。
塗った範囲にのみ効果があるものです。おりものに異常はなく、症状が外陰部のかゆみや赤みだけのときは腟錠ではなく塗り薬だけでも治療することができます。
市販のものでは、メディテート®クリームやシュトガード®などが有名です。塗り薬を3日程度使用しても症状が改善しないときには、腟内でも炎症が生じている可能性があります。そのような場合には、腟錠を併用するのがおすすめです。
腟カンジダの再発は市販薬で改善することができます。腟カンジダは女性にとってありふれた病気ですが、重度の糖尿病やHIV感染症、白血病などの免疫力を下げる病気のサインであることもあります。また、市販薬には効かない強いカンジダが生息している可能性もあります。
しかし、あまりに頻度の高い再発は市販薬ではなく、医師の診察を受けて適切な治療を続ける必要があります。多くの市販薬は「6か月の間に2回以上」再発を繰り返す場合には、病院を受診するように但し書きがされています。めやすとしては、2か月以内の再発や半年に2回以上の頻度で再発を繰り返す場合には、病院を受診した方がよいでしょう。
腟カンジダは患部を自分で見るのは困難なため、症状から再発を疑うしかありません。どのような症状が起きたら、腟カンジダの再発が疑われるのでしょうか。セルフチェックしてみましょう。
・外陰部の強いかゆみ
・ヨーグルトやカッテージチーズのような白くボロボロしたおりもの
・外陰部の灼熱感
・性交痛
これらの症状が現れたときには要注意です。しかし、これらの症状は他の性感染症でも起きことがあります。再発を繰り返している人でも、いつもと違った症状があるときは病院を受診して検査・治療を受けましょう。
腟カンジダ症とは、腟口の組織である腟および外陰部の刺激、腟分泌物および激しいかゆみを引き起こす真菌感染症を指します。 これは多くの女性が、生涯で少なくとも2回の感染を経験するといわれています。
腟カンジダ症は性感染症とはみなされませんが、口と生殖器の接触を通じて真菌類は拡散されます。薬で腟カンジダ症を治療することができますが、再発性(1年以内に4回以上)の場合は、治療が長期化する傾向があり、治療のために厳密な管理計画が必要になる場合があります。
腟カンジダ症が再発する原因は、以下の2つが考えられます。
一度症状が改善されたとしても、腟内にわずかに菌が残っていた場合、何らかのきっかけで真菌が再増殖し再発する場合があります。
・腸管に存在するカンジダ菌が肛門から腟に外陰部を通して再感染する
・セックスによる再感染
腟カンジダ症はカンジダ・アルビカンスを代表とするカンジダ属の真菌が引き起こします。
ほとんどの女性は腟内にカンジダを有していますが、通常は問題は起こりません。しかし、何らかの原因によって腟内の微生物のバランスが崩れカンジダ菌が繁殖すると、カンジダ症を発症します。 その原因は以下のようなものがあるとされています。
・初潮を迎えてから閉経までの20~30代の女性
・妊娠している
・セックス中の腟の乾燥と緊張
・抗菌薬を服用している
・糖尿病のコントロール不良
・HIVまたは化学療法の治療中で免疫力が低下している
腟カンジダ症は性感染症(STI)に分類されませんが、特に緊張している場合や腟が乾燥している場合は、セックスによって引き起こされることもあり、セックスを介してパートナーに感染させてしまうことがあるので注意が必要です。
まずカンジダ菌の再増殖を防ぐために、日常生活を見直すことが大切です。免疫力の低下を防ぐために健康的な食事や十分な睡眠を心がけましょう。通気性の良い服や下着を着用することも大切です。また、抗生物質やステロイド剤などは医師の指示に従って服用するようにし、必要以上に服用しないようにしてください。
再感染を防ぐためには、陰部を石鹸などで過剰に洗い過ぎないことが大切です。陰部を洗いすぎてしまうと、腟が通常持っているバリア機能が失われてしまい、カンジダ菌が増殖してしまいます。セックスによる感染を防ぐにはコンドームの着用が重要です。
腟カンジダ症の再発を防ぐためには、健康的な生活とやデリケートな部分を清潔に保つことです。ただし、過剰に洗いすぎないように気をつけましょう。また、パートナーもコンドームを着用したり、ペニスを清潔にしておくことが大切です。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。