記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
2017/9/25
記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
「眼が乾いて辛い」「眼が痛くなる」など、ドライアイを訴える声はますます増えています。
この記事でドライアイを引き起こす原因や習慣を知り、治療や予防に役立ててください。
ドライアイとは、目が乾燥して目の表面がむき出しになることで起こる外傷や障害を指します。
目が乾燥する主な原因は涙の分泌量の低下と、質の変化によって涙液が蒸発しやすくなってしまうことです。
また、近年は環境によって引き起こされるドライアイも増加傾向にあります。
それぞれの要因について詳しく見ていきましょう。
IT眼症とは、コンピューターに代表されるIT技術の進歩に関連した機器を用いることで発症する目の障害や不調のことです。かつてはVDT(visual or video display terminals)眼症と呼ばれていましたが、テレビゲームやスマートフォンなど原因となる操作機器の幅が広がったため、IT眼症と呼ばれるようになりました。
IT眼症によってドライアイになる原因のほとんどは、まばたきの不足です。
通常時の瞬きの平均回数は1分間におよそ20回といわれていますが、IT機器の操作時には1分間に6回と3分の1近くまで減少します。
これによって目の表面が乾燥しやすくなり、ドライアイを引き起こしてしまうのです。
コンタクトレンズをつけた目の表面は涙の層のバランスを保ちにくくなるので、目の乾燥をはじめとしたドライアイの症状が起こりやすくなります。
また、洗浄を怠ってタンパク質などの汚れがレンズに付着しているとコンタクトレンズ表面に涙や水分がとどまりにくくなることも、ドライアイを引き起こす原因のひとつです。
エアコンの効きすぎで湿度や温度が低すぎる環境もまた、ドライアイの引き金となる可能性があります。
特にエアコンの風が直接当たる場所での作業は目の乾燥を加速させる原因となるので、できるかぎり避けましょう。
以下の項目への該当数が多ければ、ドライアイになっている可能性があります。できるだけ早めに眼科で診察を受けましょう。
□ 目が疲れる、異物感がある
□ 目の乾きが気になる、不快感がある
□ 目がヒリヒリと痛む
□ 白目の部分が赤くなっている
□ 朝、目が開けにくい
□ 白っぽい目ヤニがでる
□ 見辛さ、視力の低下を感じる
□ 目が霞むことがある
眼科では専用のろ紙を使って涙の量を測るシルマー試験と呼ばれる検査や、フルオレセインという染色液を少量点眼して目の表面に傷が無いかどうかを調べる検査、涙の安定性を調べる検査などが行われます。
医師の判断によって異なりますが、どの検査も外来で受けることができ、強い痛みなどを感じることはほとんどありません。
また、一般的に眼科で行われる治療は以下の通りです。
・ヒアルロン酸、人工涙液、血清の点眼(涙液を補うため)
・ドライアイ保護用の眼鏡の着用
・眼軟膏の塗布
「目が疲れた」「ドライアイの症状かも・・・」と感じたら、蒸しタオルなどを当てて目の周りを温めましょう。点眼薬や洗眼液の使用も効果的ですが、市販のものには防腐剤や刺激物が含まれていることが多いので、それらが含まれないものや眼科で処方された薬剤を使うことをおすすめします。
また、上の項目で見たように、ドライアイは生活習慣に起因していることが多いです。
そのため、治療と並行して日々の予防を行うことが大切になります。
・パソコンでの作業をするときは瞬きの回数を増やす
・パソコン、スマートフォン、モニターなどを長時間見るときは1時間に15分ほどの休憩をとる
・室内が乾燥している場合は加湿器を置く
・パソコン画面の明るさ、文字の大きさを見やすいように調整する
・コンタクトレンズの長時間使用を避ける(1日10時間以内が望ましい)
上記のような点に注意してドライアイを予防しましょう。
ドライアイが急に視力を失うなどの深刻な症状を誘発することはめったにありませんが、稀に合併症を引き起こすこともあります。
また、アレルギー反応が併発する可能性もあるので、眼に違和感や痛みなどが現われたら自身で判断せずに、早めに眼科で診察を受けましょう。