記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
2017/9/26
記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
ドライアイは目の酷使やコンタクトレンズ、さまざまな疾患などにより起こる疾患です。ドライアイを放置することにより症状が深刻化する恐れがあるため、軽度な段階で治療することが推奨されています。今回は、ドライアイの原因や、改善方法について解説します。
ドライアイとは、目が涙を十分に生成できない、または涙がすぐに乾燥してしまうときに起こる病気です。主な症状として、目の乾燥、充血、腫れなどがみられます。
ドライアイは、複雑な涙の生成過程が、何らかの原因によって邪魔されたときに起こるとされています。よくある原因として、以下のようなものがあります。
・暑い、もしくは風の強い気候下にいた
・コンタクトレンズ(特にソフトコンタクトレンズ)の着用
・スマホやPCの長時間使用
・眼瞼炎(まぶたの炎症)等の、特定の基礎疾患
・抗ヒスタミン剤や抗うつ薬、β遮断薬、利尿薬等を含む、特定の薬の副作用
・更年期や妊娠期間、また経口避妊薬を飲んでいるなどの女性ホルモンの変化
ドライアイは、年齢問わずなりやすく、女性に多くみられます。
通常、ドライアイの症状は軽度なものがほとんどですが、特に対処せず放置していた場合や症状が深刻な場合は合併症に繋がる恐れもあるため注意が必要です。とくに以下のような症状があるときは早めに眼科を受診しましょう。
・1日を通して悪化していく、乾燥やザラザラ、またはヒリヒリしたような感覚
・焼けるような目の痛み、目の充血
・朝起きたときにまぶたが開かない
・まばたきをすれば治るが、一時的に視界が不鮮明になる
・流涙(目が炎症を軽減しようとして、涙を多く生成していくことから起こる現象)
眼科でのドライアイ治療には以下のような方法があります。
・ヒアルロン酸や人工涙液の点眼・・・一般的なドライアイの治療です
・血清による点眼・・重症なドライアイの場合に使用されます
・涙点プラグ挿入術・・・点眼治療で症状が改善しない場合に行われます
・眼軟膏の塗布・・・朝の乾燥で目が開かない場合に有効とされています
ドライアイはセルフケアで緩和することも可能です。以下にその方法をご紹介します。
パソコン使用時は、モニターが目線の高さかそのすぐ下に来るようにしましょう。数時間ごとに、パソコンの画面から定期的に目を離すことをおすすめします。
加湿器は周囲の空気に湿り気を与え、ドライアイの症状の軽減につながります。埃っぽい環境に勤務したり居住している場合は、空気清浄機を使うことをおすすめします。
清潔なホットタオルなどで目を温めるとドライアイの症状が和らぎます。ただし熱すぎないように注意しましょう。
円を描くような動きで小指を回し、閉じた眼を優しくマッサージすることもおすすめです。また、綿棒を手にとって眼を閉じ、優しく瞼の上のほうから、まつげと瞼の縁に向かって下のほうに転がしましょう。これを、瞼の上部と下部全体で繰り返してください。
オメガ3脂肪酸の摂取が、ドライアイが改善するということを示す証拠がいくつかあります。オメガ3脂肪酸の含まれる以下のような脂っこい魚がおすすめです。
・サバ
・サケ
・イワシ
・ニシン
・新鮮、もしくは凍らせたマグロ(缶詰でないもの。缶詰にする工程で有益な油分が除去されてしまうことがあるのです)
週に最低でも2回は魚を食べ、そのうち1回は油分の多い魚を食べることをおすすめします。
他にもナッツ類や種、野菜油、大豆や大豆製品、緑色の葉野菜からもオメガ3脂肪酸を摂取することができます。オメガ7脂肪酸、もしくはシーバックソーンオイルも有益であるといわれています。
ドライアイの症状は軽度なものが多いため、眼科に行くまでもないと考えがちですが、放置することで症状が悪化する恐れもあります。目の乾きが気になるようであれば早めに眼科を受診し、原因にあわせた適切な対処を行うようにしましょう。