記事監修医師
日本赤十字社医療センター、歯科・口腔外科
川俣 綾 先生
2017/9/27
記事監修医師
日本赤十字社医療センター、歯科・口腔外科
川俣 綾 先生
歯ぎしりは、大人に多いと思いがちですが、実は子供が歯ぎしりをすることも少なくありません。子供の歯ぎしりの原因は大人と同じようにストレスでしょうか? 今回の記事では、歯ぎしりが与える影響や、治療法について解説します。
子供は日中よりも寝ている間に歯ぎしりをすることがほとんどです。子供の歯ぎしりの原因には、以下のようなものがあると考えられますが、はっきりとした原因はまだわかっていません。
・歯並びの悪さや上下の歯の不規則な接触
・病気やその他の健康問題(栄養不足、アレルギー、内分泌疾患など)
・不安やストレスなどの精神的要因
歯ぎしりをしてしまう子供は、目を覚ましたときに、顎が痛いと訴えることが特に多いといわれています。さらに、頭痛、耳痛、顔面の痛みにつながる可能性があり、過度な歯ぎしりは顎関節症を引き起こす可能性があります。また、以下のような感情的な症状に結びつくこともあるといわれています。
・不安
・緊張
・ストレス
・うつ病
・摂食障害
また、歯ぎしりが酷い場合、部分的に歯周病を引き起こし、その歯が抜けてしまうこともあるといわれています。
子供がまだ乳歯であれば、歯ぎしりをしていてもめったに問題にはなりませんが、永久歯に生え変わった後も歯ぎしりが続くようであれば早めの治療が推奨されています。
また、乳歯の場合でも、歯並びが極端に悪く、特定の歯に負荷がかかっている場合は歯科医に相談することをおすすめします。
歯ぎしりの治療はマウスガードの装着が一般的です。マウスガードは子供の歯に合わせて作られ、装着することで上下の歯が接触しなくなるため、歯がすりへるのを抑えることができます。また、歯ぎしりによる歯や顎関節の負担が軽減されることで、結果として顎周りの筋肉の負担が軽減し、歯ぎしりの改善につながる場合もあります。
歯ぎしりの原因がストレスと考えられる場合は、ストレスへの対処が必要となります。例えば、学校や家庭について子供と保護者が話し合うことで心配や不安がやわらぎ、ストレスが改善することもあるでしょう。しかし、改善の兆候がみられない場合やメンタルの問題がより深刻な場合は、医師に相談し、今後の治療法を検討する必要があるかもしれません。
子供の歯ぎしりは、以下の方法で自宅ケアが可能です。
・落ち着いた音楽や読書などで、特に寝る直前の子供のストレスを減らす
・筋肉をほぐすために、マッサージやストレッチを行う
・子供がたっぷりと水分を摂れるようにする。
乳歯の歯ぎしりは、めったに問題にはなりませんが、永久歯に生え替わっても歯ぎしりがある場合は治療が必要です。また、歯ぎしりは顎の痛み、頭痛、歯のすり減り、顎関節症の原因となり得ます。もし子供の歯がすり減っていたり、子供が歯の過敏症を訴えたら、歯科医に相談することをおすすめします。