記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/10/4
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
胃癌は初期症状があらわれないため、定期的な検診が大切な病気です。今回の記事では、胃癌の症状や治療法などの基礎知識を解説します。
胃癌とは、胃壁粘膜に発生する癌です。50~60歳代に多く発症し女性よりも男性に多くみられますが、胃癌による死亡率は年々減少傾向にあります。
癌が発生した場合、癌の広がりにより、早期胃癌と進行胃癌に大別されます。
早期の胃癌は通常、初期症状がありません。以下の症状があらわれた場合は、すでに癌が進行しているということが考えられます。
・腹部の不快感や痛み
・便中の血液
・腹部膨満(特に食後)
・下痢や便秘
・疲労
・胃腸出血
・消化不良または胸焼け
・食欲不振
・吐き気や嘔吐
胃癌は以下のような原因から発症するとされています。
塩分の多い食べ物や、酸っぱい食べものを多く食べる人は、胃癌のリスクが高くなるといわれています。
ハム、ベーコン、ホットドッグ、デリ肉などの硬化肉に含まれる硝酸塩、亜硝酸塩の両方が胃の他の窒素含有物質と結合し、胃癌の原因となるN-ニトロソ化合物(発癌物質)を形成します。
塩漬けの肉、魚、漬物などの消費量が多い日本では、胃癌率が高いといわれています。また、赤身の肉、特に網焼きの肉やウェルダンの肉を食べることも胃癌と関連性があるとされています。
ヘリコバクター・ピロリ菌(Helicobacter pylori)は、胃に通常存在する菌です。ピロリ菌感染は、胃の炎症および胃潰瘍、胃癌のリスクを増加させますが、実際に胃癌を発症するのは、感染した人のほんの少数だけとされています。
喫煙する人は、喫煙しない人よりも胃癌を発症する可能性が高いとされています。喫煙は特に、食道に最も近い胃の上部部分が刺激されることで、胃癌のリスクを増加させます。
胃の手術や慢性胃炎などの胃の問題がある状態は、胃癌のリスクを高める可能性があるとされています。
スキルス性胃癌は遺伝性が強いといわれていますが、他の胃癌に関しては遺伝よりも家族間で食生活が似通っていることが原因になる可能性が高いとされています。
胃癌の治療法を以下に解説します。
初期の胃癌であれば、手術によって癌を完全な除去も可能性であり、内視鏡手術で治療で完治が目指せるケースもあります。切除範囲が大きくなった場合には消化管の再建が必要です。また、リンパ節に転移している場合はリンパ節郭清でリンパ節を切除します。
癌を完全に取り除くことが難しい場合は、通常体力のある方であれば化学療法が行われます。
放射線療法は、放射線を用いて癌細胞を破壊する療法です。この療法は、胃に近い臓器にダメージを与える可能性があるため、あまり行われませんが、痛みや出血を伴う進行性の胃癌の場合は症状を和らげるためにこの療法を採用する場合もあります。
胃癌の再発を防ぐため、術後に化学療法や放射線療法、またはその両方を行うことがあります。
胃癌は初期症状があらわれないため、自分で気づくことが難しい病気です。また、異変に気づいたときは、癌が進行している可能性が高いため、定期的に胃癌検診を受け、早期発見することが大切です。