記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/10/11
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
待望の赤ちゃんが誕生してから早くも数年。ふとした着替えのときに、「あれ?そういえば蒙古班っていつ消えるんだろう?」という疑問をもつ保護者の方も少なくないようですが、果たして蒙古班はいつ頃消えるのでしょうか?蒙古班ができる原因と併せて解説していきます。
先天的にできていることが多い蒙古斑は、一般的に赤ちゃんのお尻の上に発生します。特に日本人の赤ちゃんには、出生時に99.5%以上の確率で発生すると言われていますが、多くの場合、大人になる頃には消えています。
蒙古班ができる原因ははっきりとはわかっていません。ただ、母親の胎内にいる時期に、メラノサイトが表皮に向かって移動する途中で刺激を受けることによってできるのではないかと考えられています。また、メラノサイトは赤ちゃんの神経細胞を作る働きがあるのですが、これが特に腰の部分で活発に働くことも蒙古斑の原因ではないかとする説もあります。
蒙古班が消える時期については個人差があります。ただ一般的に、3~5歳頃になると自然に消えていることがほとんどで、遅くても10歳頃までには完全に消えてしまっていることが多いです。
ただ持続性タイプのあざの場合は、大人になってもそのまま消えずに残ってしまうことがありますが、大人になってからは色が薄くなりにくいので治療が必要になることも多いです。
お尻以外にできる蒙古斑もいくつもあります。足の甲や足の付け根にできるものもあり、こういった蒙古班は「仙骨部外蒙古斑(異所性蒙古斑)」といいます。また、「太田母斑」といって、思春期以降にも目の周囲やおでこなどにできてしまうものもあります。この場合、大きくなるにつれてどんどん色が濃くなっていってしまうので、自然と消えるということはありません。ほかに、肩・肩甲骨、腕などにできる「伊藤母斑」もあります。こちらは思春期の女性に比較的多く見かけられるあざです。
通常、蒙古斑は真皮部分にあるメラノサイトが増えることから青灰色に見える場合がほとんどなのですが、稀に「カフェオレ斑」と呼ばれるものもあります。カフェオレ斑は皮膚の浅い部分にできることで薄い茶色に見えるのだと考えられています。なお、カフェオレ斑が6個以上できるとレックリングハウゼン病という病気である可能性があります(あざが急激に増えたり、徐々に増えたりといった皮膚症状以外に、目や骨、神経などにも影響があらわれる遺伝子の病気です)。
大人になっても消えない蒙古斑の場合でも、治療は可能です。治療は形成外科もしくは皮膚科で行われ、異所性蒙古斑や太田母斑であれば保険適用となります。蒙古班の種類によっては保険適用外の場合もあります。
実施されるのはレーザー治療が一般的です。ただレーザー治療は痛みを伴うので、麻酔効果があるシールを使ったり、小さな子供であれば全身麻酔をしたりするため、入院の必要がある場合もあります。治療はあざの濃さにもよりますが、一般的には2~3か月に一度、5~20分間ほどレーザーを照射する治療法になります。治療期間は6ヶ月間から長い場合は2年ほどかかることもあります。
多くの赤ちゃんに発生する蒙古班ですが、遅くとも10歳頃までには自然に消滅する場合がほとんどなので、特に心配する必要はありません。ただし、お尻以外に蒙古班のようなものができたり、成長してもどんどんあざが大きくなったりしている場合は、検査や治療が必要な場合もあるので、皮膚科医などの専門医にご相談ください。