吃音の原因は大人と子供で違う!?それぞれの症状の特徴とは?

2017/10/13 記事改定日: 2018/5/28
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

すらすらと発声ができずに何度も詰まってしまったり、同じ音を繰り返し発してしまったりして、日常生活でつらい思いをすることの多い「吃音症」。実は、大人と子供で原因が異なるといわれているのです。それぞれの特徴についてまとめました。
吃音の対処法についても説明しているので、参考にしてください。

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吃音は大人と子供で原因と症状が違う!?

吃音は主に2種類に分類され、青年期以降に発症する原因が明らかな「獲得性吃音」と幼児期に発症し原因がよく分かっていない「発達性吃音」に分かれます。

子供の吃音の原因 ― ほとんどが発達性吃音!?

吃音の大部分は、子供に見られる発達性吃音が占めています。原因は明らかになっていませんが、研究により遺伝的要素(先天的なもの)と、何らかの環境的な要因(後天的なもの)が組み合わさって起こると考えられています。

発達性吃音の症状

発達性吃音は幼児期に発症してだんだんと進行していきます。初期は「り、り、りんご」というように頭の音を繰り返す「繰り返し」が見られ、徐々に「りーーーんご」というように音を引き延ばす「引き延ばし」が見られます。幼児特有のおぼつかない喋り方と見分けがつきにくいため判断が難しいです。そして、発展すると「りんご」と言おうとしても、最初の「り」の音がつかえて出なくなる「ブロック」を発症します。ここまで進むと改善にまで時間がかかるため、できるだけ早めに気付いて治療に取り組む必要があります。

大人の吃音の原因 ― 獲得性吃音は大人になってから発症する?

一方、獲得性吃音は青年期以降に発症するとされています。獲得性の中でもさらに神経原性と心因性の2つに分かれており、前者は脳卒中など脳の病気が原因となって起こるもので物理的な症状とも言えます。後者は心的なストレスが要因で起こる症状であり、多くの方が悩んだりコンプレックスを抱いたりします。

獲得性吃音の特徴

獲得性吃音の症状は発達性吃音と症状が似ていて、引き延ばしや繰り返しが出現しますが、発語前の不安や緊張を伴わないケースもあり、発達性吃音とは違って自然治癒はせず完治する確率が低いともされています。

ただ、成人していることもあり、自分で症状を自覚してつまる・どもるときの法則性や条件が把握できれば、自分でコントロールすることができることも特徴として挙げられます。

吃音の原因 ― 環境的要因と心理的要因について

吃音の原因は明確には解明されていませんが、環境的要因と心理的要因が複雑に絡み合って発症するといわれています。
環境的要因とは、言語を習得するときの環境によって吃音が生じるというものです。環境的要因には、言葉を習得する年齢の頃に周囲に吃音の人がいることが挙げられます。人は周囲の人の言葉をマネしながら言語を獲得するため、当然ながら両親などの近い人が吃音の場合には吃音が正常と思い、言語が発達してしまうのです。

一方、心理的要因とは、幼少期に受けたストレスが原因となるものです。心理的要因には様々なものがありますが、親からの虐待や厳しい理不尽なしつけ、無関心、いじめなど子どもの心に大きな傷を残すような出来事が原因となります。しかし、心理的要因による吃音は、環境的要因によるものよりも改善しやすいといわれており、ストレスとなる事柄から解放されれば自然に治ることがほとんどです。

吃音の症状の特徴は緩和できるの?

吃音とは、発音・言葉の不明瞭さ、聞き取りに困難がある状態を指します。吃音症は「どもり症」とも呼ばれていて、言葉につまったり、スムーズに発話ができない・言葉そのものを発することができないといったものが主な症状として挙げられます。
比率は男性:女性=4:1と、男性の方に見られることが多いとされています。

これらの症状は、発症しても本人が置かれる環境を整えたり、周囲の理解や周りが工夫して接したりすることによって、症状を緩和・改善できることが研究によって明らかになっています。また、これにより自分自身の「自己肯定感」が下がることを防ぎ、二次障害に繋がる可能性も低くなります。

吃音を防ぐために気をつけること

幼児期に見られる発達性吃音の発症予防に関しては、発達段階の現象か吃音か区別がつきにくいため、判断が難しければ様子を見るのではなく早めに言語聴覚士のもとで診察を受けましょう。早期に診断を受けることで、より治療効果が見込めます。

獲得性吃音に関しては、現在日本では言語療法による治療の症例があまり多く見られてはいないものの、研究は進んでいます。音節をひとつひとつ発音することや、ゆっくりと軟起声で話すなどでじっくりと改善していく方法が主体となります。成人になって発症した場合、環境を改善する(喋る機会の少ない職種に変えるなど)、焦らずにゆっくり話すことなどによって、吃音自体は治らなくても工夫次第で違和感のないコミュニケーションをとって問題自体を無くすことが可能とされています。

おわりに:吃音症のタイプに応じた対処を

一言で「吃音症」といっても、種類によって原因も特徴も対処法も異なります。専門の医療機関での治療を通じて、吃音症のタイプに応じた、症状の改善法を身につけていきましょう。

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