風邪で病院へ行った方がいい症状の特徴とは?

2017/10/16 記事改定日: 2019/5/21
記事改定回数:2回

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

風邪の場合、ゆっくり休んだり、消化の良いものや栄養のあるものを食べれば少しずつ回復していきます。しかし、38度を超える高熱や関節痛、胸の痛みが出てくるときは別の病気の可能性があります。この記事では、風邪の症状と病院へ行った方がいいときの症状について解説していきます。

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風邪の症状にはどんなものがある

風邪は、医学的に言うと「風邪症候群」「上気道感染症」「急性気道感染症」などと呼ばれています。上気道(鼻腔・咽頭・喉頭)に症状が認められたとき、風邪と診断されます。

風邪を引くと、最初に以下のような症状があらわれます。

鼻水、せき、くしゃみ

ウイルスや細菌など、風邪の原因となるものが体内に入ると、体はこれらのものを体の外に追い出すために防御し始めます。

この防御反応が鼻水やせき、くしゃみです。
鼻水は、鼻やのどにくっついたウイルスを洗い流すために、せきやくしゃみは異物を外に出すために起こります。

のどの痛み

ウイルスや細菌がのどに侵入すると、のどが炎症を起こして痛み始めます。風邪を引いて鼻が詰まってしまうと、私たちは口呼吸をしますが、このときにのどにウイルスや細菌が入りこみやすくなります。

たん

のどや気管支が炎症を起こすと、粘膜が腫れて充血し、粘液が大量に分泌されます。この粘液の塊がたんとなって、体の外に排出されます。

風邪の症状の経過と二次感染について

風邪を引くと、上記のような症状のあと発熱や頭痛、場合によっては腹痛や下痢を伴うこともあります。
ほとんどの場合、発症してから数日~1週間くらいで症状が落ち着いてきますが、風邪の症状が出ている間は細菌への二次感染を起こしやすくなるため、注意が必要です。

二次感染を起こすと、激しいせきが続く気管支炎、発熱や胸痛、呼吸困難などを引き起こす肺炎、耳の痛みや発熱を訴える中耳炎を併発する恐れがあります。また、脳炎や髄膜炎といったより重篤な疾患につながるおそれもあるので、たかが風邪と侮れません。

病院に行った方がいい、危ない風邪の特徴とは?

以下のような症状があるときには、風邪が重症化していたり、単なる風邪ではなく別の感染症の可能性もあります。当てはまる項目が多い場合は、単なる風邪と軽く考えずに病院で検査・治療を受けるようにしましょう。

  • 38℃以上の高熱が3日以上続く
  • 喉の痛みや吐き気がひどく、十分に水分を摂れない
  • 嘔吐や下痢が頻回である
  • 激しい咳が続き、睡眠が妨げられる
  • 倦怠感がひどく、起き上がるのがつらい
  • 呼吸が苦しく、息をするのも一苦労である
  • 耳の痛みや耳垂れがある
  • ぐったりして呼びかけへの反応が薄い
  • 痙攣が見られる
  • 発熱の前後に発疹が見られる

風邪薬は症状を軽くする効果しかないってホント?

風邪の原因となるウイルスは200種類以上と非常に多く、一つひとつのウイルスを特定して対処するのは難しいため、今のところ風邪の特効薬はありません。風邪で病院に行くと、薬は処方されますが、鼻水が出るのを抑える薬や咳止め薬、解熱鎮痛剤など、、あくまでも症状を和らげる対症療法として出されるものです。

また、抗生物質は細菌に対して効果を発揮する薬なので、風邪の原因ウイルスには効果がありません。

そのため、風邪を治すために最も大切なのは休息と栄養です。

  • しっかりと睡眠をとる
  • 眠れなくても横になって休む
  • 水分をこまめに補給する
  • 部屋の乾燥に気を付ける
  • 食べられるなら栄養のあるものを口にする

以上のように休養を心がけることが、風邪からの早期回復につながります。

おわりに:風邪かなと思ったら、休息と栄養をたっぷり摂ろう

風邪を治すためには、消化のよい食べ物で栄養を補給し、十分に睡眠をとることが大切です。もし、のどの痛みや鼻水が出てつらいときは、薬の力を借りてつらい症状を抑え、落ち着いて休めるようにしましょう。

また、高熱が続いたり、意識がもうろうするといった症状が出たりしたときは、肺炎などの二次感染や他の感染症の可能性があります。できるだけ早く病院に行き、適切な治療を受けてください。

※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。

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