記事監修医師
日本赤十字社医療センター、内視鏡診断治療科
永岡 栄 先生
2017/12/21
記事監修医師
日本赤十字社医療センター、内視鏡診断治療科
永岡 栄 先生
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
胃ポリープは胃の粘膜の表面にできる隆起(盛り上がること)のうち良性のものを指します。
小さいものであれば治療が必要ないことも多いですが、種類によっては胃癌の原因になることもあるので注意が必要です。
胃ポリープには胃底腺ポリープ、過形成性ポリープ、腺腫性(せんしゅせい)ポリープの3つがあります。いずれのポリープも自覚症状が無いことがほとんどです。以下の文でそれぞれの特徴を見ていきましょう。
過形成性ポリープはヘリコバクター・ピロリ菌の感染によって発症することが多いです。
色は赤く、表面にいちごのような粒状の凹凸が見られます。
出血やびらん(皮膚や粘膜の表層が損傷した状態。炎症や赤みをともなうことが多い)を引き起こすこともあります。ピロリ菌がいるため萎縮性胃炎などの他の胃疾患を併発することがありますが、過形成性ポリープが癌に発展することは稀とされています。
胃底腺ポリープは女性に多く見られる病変で、胃底腺の粘膜の表面に数ミリ程度の半球状のポリープがたくさんできますが、癌化する可能性は稀です。ピロリ菌の感染は通常関係ないとされています。
腺腫性ポリープは、高齢者や特に男性の発症率が高いポリープで、腸上皮化生(胃の粘膜が腸の粘膜に置き換わってしまう現象)を持つ萎縮した胃の粘膜に発症すると考えられています。
大きさが2cm以上になると癌を併発するリスクが高いので、内視鏡手術による切除が推奨されます。
胃ポリープ発症の仕組みは、上の項目で説明したポリープの種類によって異なります。
はっきりとした原因やメカニズムはわかっていませんが、胃底腺ポリープは女性の発症率が圧倒的に高いことから、女性ホルモンの影響で胃が何らかの刺激を受けることでポリープができると考えられています。
また、過形成性ポリープはピロリ菌の関与が大きく、
ピロリ菌の感染によって胃の粘膜が傷つく
→ 萎縮性胃炎を起こす
→ 胃の粘膜の表面が盛り上がる
というメカニズムで発症すると考えられています。
はっきりとした原因は判明していませんが、ストレスや食事による刺激で胃に負担がかかることが胃ポリープを引き起こしやすくしていると考えられています。
カフェイン・アルコール・香辛料などの刺激が強い飲食物は消化しにくく、胃に負担をかけやすいです。特に、コーヒーに含まれるカフェインには胃酸を分泌させる働きがあるので、必要以上に胃酸が増えて胃が荒れる原因になり得ます。空腹時の摂取や飲みすぎに注意しましょう。
以前は「胃ポリープは胃癌の前段階」といわれていましたが、現在では多くのポリープは良性であり、癌に発展する可能性はあまり高くないと考えられています。
ただし、以下のような場合は癌を併発する可能性があります。
・ポリープが癌化の可能性がある細胞を含んでいる
・腺腫性ポリープが2cm以上に成長している
ポリープ自体は無症状のため、自身で異変に気がつくのは難しいです。
特に過去にポリープを発症したことがある方は、定期的に胃の検診を受けるようにしましょう。
胃は様々な刺激を受けやすいデリケートな器官です。
ストレスの軽減や食生活の見直しを行なって負担を減らし、胃を健康的な状態に保つことを心がけましょう。