記事監修医師
日本赤十字社医療センター、小児外科
中原 さおり 先生
2018/5/9
記事監修医師
日本赤十字社医療センター、小児外科
中原 さおり 先生
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
「A群溶血性レンサ球菌咽頭炎」という病名を聞いたことはありますか?あまり聞きなれないかもしれませんが、子供がかかることの多い急性咽頭炎の一種です。以降で症状や治療法、予防法などを詳しく解説していきます。保護者の方、必見です。
A群溶血性レンサ球菌咽頭炎とは、A群レンサ球菌によって引き起こされる上気道感染症です。どの年齢の人でも発症する可能性がありますが、学童期の子供が発症することが多く、冬の間と、春~初夏の2つの時期に発症数が増える傾向にあります。
A群溶血性レンサ球菌咽頭炎にかかると、咽頭痛と発熱、全身の倦怠感といった症状が現れます。人によっては嘔吐や猩紅熱(しょうこうねつ。発熱や全身の発疹が現れ、口の周りだけ白っぽくなるのが特徴です)などの症状がみられる場合もあります。
熱は無治療の場合5日くらい続きますが、その他の症状を含め、1週間程度でおさまることがほとんどです。 しかし、まれに重症化し、肺炎や髄膜炎、敗血症といった合併症を引き起こすケースがあります。
A群溶血性レンサ球菌咽頭炎に対しては、通常、抗菌薬による薬物療法を行っていきます。第1選択薬はペニシリン系薬剤ですが、アレルギーがある場合には代替薬が処方されるのが一般的です(これらの薬で効果がみられなければ、別の薬を処方する場合もあります)。なお、いずれの薬も基本的には合併症の予防のために決まった日数(10日~14日くらい)を飲み続ける必要があるので、詳しい服用期間については主治医の指示に従ってください。
また、合併症の一つである急性腎炎を併発していないかどうか、発症後3週間くらいで尿検査をするのが一般的です。
A群溶血性レンサ球菌咽頭炎を完全に予防する方法はありませんが、感染リスクを減らすことはできます。そもそも、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎に感染してしまうのは、感染者との接触や飛沫を吸い込むことが原因です。そのため、予防するには感染者との接触を避け、日常的に手洗いとうがいをしっかり行うことが重要と考えられます。
A群溶血性レンサ球菌咽頭炎は、多くの場合数日で改善していきますが、深刻な合併症を引き起こしてしまうケースも存在します。お子さんの健康を守るためにも、日頃から手洗い、うがいを励行し、未然に感染を予防しましょう。
【 国立感染症研究所の情報をもとに編集して作成】