子供の手首やひじに異変!「若木骨折(わかぎこっせつ)」かも?

2017/10/17 記事改定日: 2020/7/21
記事改定回数:3回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

「若木骨折(わかぎこっせつ)」をご存知ですか?普通の骨折とは違うために発見が遅れやすい、成長過程のお子さんに特有の骨折の一種です。この記事では、若木骨折の症状や原因、治療法などをお伝えしていきます。

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若木骨折(わかぎこっせつ)とは

普通の骨折は骨がぽきっと折れてしまいますが、若木骨折はその名のとおり、骨が若木のようにしなりながら曲がってしまう状態のことをいいます。若木骨折は基本的に大人に起こることはなく、成長期の子供がなりやすいと言われています。

若木骨折しやすい場所
  • 腕や足などの細く長い骨に生じやすい
  • とくに腕の骨に生じることが多い
  • 強く手をついて転倒するなど細く長い骨の長軸方向に力が加わることによって生じやすい

若木骨折を治療せずに放置すると、成長に大きな影響を及ぼすことになったり、後に大きな障害に発展することもあります。

若木骨折はどんな症状がみられる?

一般的な骨折の場合、鋭い痛みを感じたり、関節が動かなくなったりといった症状が見受けられますが、若木骨折ではこのような骨折に特有の症状がみられないのが特徴です。

厳密にいえば、若木骨折とは骨が曲がっているだけで、折れているわけではありません。そのため、関節の動きに影響はほとんどなく、目立った外傷も見当たりません。そのため、骨折してもあまり痛みを感じなかったり、傍から見ても異常がないように見えたりします。ただ、骨折から2、3日経った後に痛みが出る場合があります。

気をつけたい子供の骨折サイン

自分で症状を訴えられない子供は骨折をしていても気づかれずに発見が遅れることがあります。とくに、若木骨折はレントゲン写真でも描出されにくいため注意が必要です。

転倒した後などに次のような様子の変化が見られる場合は骨折の可能性があります。放っておかずにできるだけ早めに病院を受診し、様子の変化を医師に伝えるようにしましょう。

  • 特定の部位を痛がる
  • 痛がっている部位を動かそうとしない
  • ケガのあとに腫れや内出血、熱感などの症状が続く
  • (足の骨折の場合)片方の足をかばうようにバランス悪い歩行になる

若木骨折が起こる原因は?

若木骨折が起こる原因は、骨の柔らかさにあります。子供の骨は成長過程にあるため、大人と比較して骨が柔らかいです。そのため、外から力が加わったときに変形しやすいという特徴があります。たとえば、転んで肩や腕などをぶつけただけでも簡単に変形してしまうことがあります。骨が柔らかいという本質的な原因と、外部的な力の要因が合わさることによって、若木骨折は起こってしまうのです。

また、食生活が偏っている子供の場合、骨の強度が弱くなっていることもあるため、若木骨折を起こすリスクが高くなります。

若木骨折はどうやって治す?大人になってから自然治癒可能?

若木骨折は普通の骨折とは異なるものですが、治療方法は普通の骨折とほぼ同じです。

治療にあたって、まず折れた部位をレントゲン(X線)で撮影し、骨の状態を確認してから、正しい方向に骨を固定して矯正していきます。基本的には3週間程度で自然治癒していくため、手術をする必要はありません。成長期の子供は、骨が柔らかい分、矯正もしやすいのです。

ただし、骨折に気づかず成人してしまった場合では、自然治癒が難しくなるため、外科的な手術が必要になります。

おわりに:見た目ではわかりにくい若木骨折。遅れて痛みが発生したら病院へ

若木骨折は、骨が柔らかいために起こる骨折で、成長過程の子供にみられます。大人の骨折とは異なり、関節が普通に動くので発見が遅れることがあります。若木骨折は子供のうちに治療すれば、自然治癒が見込めます。ケガをしてから数日後に突然痛くなる、など若木骨折が疑われる場合、病院で診てもらうことをおすすめします。

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