記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/10/18 記事改定日: 2019/9/25
記事改定回数:2回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
気管支喘息(喘息)の症状が出始めると、急に激しい咳がとまらなくなったり、ヒューヒューといった独特の呼吸音が出てきたりするので辛いですよね。こうした発作を抑えるために薬を使うことが欠かせないのですが、市販薬でも症状を抑えることはできるのでしょうか。この記事では、喘息治療薬としてどのようなものを使うことができるかを解説します。
市販薬で気管支喘息(以下、喘息)の症状を一時的に抑えることはできますが、喘息そのものを完治させることはできません。どうしても病院に行く時間がとれない場合や、急に咳が止まらなくなってしまった場合など、やむを得ないときだけ利用するにとどめることが大切です。
急な喘息の症状をおさえるために市販薬を服用する場合、気管支を拡げて呼吸を楽にする成分を含む薬(たとえば、アスクロン®、アスゲン散EX®、アストフィリンS®など)を選びましょう。
ただし、「麻薬性鎮咳成分(コデインリン酸水和物、ジヒドロコデインリン酸塩など)」を配合している咳止め薬を服用すると、喘息発作の症状を悪化させる恐れがあります。市販薬を購入するときは成分を必ず確認して、麻薬性鎮咳成分が入っていない薬を選んでください。もしわからないときは、薬剤師に相談しましょう。
なお、喘息は市販薬で完治することはないため、長期にわたって喘息の発作をコントロールするためには医療機関の受診が欠かせません。市販薬で発作が落ち着いているから、と安易に考えず、必ず医師に診てもらいましょう。子どもの場合は小児科へ、大人の場合は呼吸器科やアレルギー科に行くとよいでしょう。
病院で処方される喘息の治療薬として、長期管理薬と発作治療薬があります。
毎日続けて使う薬です。喘息を発症した場合、発作を鎮める薬だけでなく、発作が起こらないよう予防するための長期管理薬も服用することになります。
長期管理薬にはさまざまなものがありますが、代表的なのは吸入ステロイド薬です。直接気道に作用して炎症を抑えるもので、副作用が少なく、改善の効果が高いことから広く使われています。
この吸入ステロイド薬と併用する長期管理薬として、長時間作用型吸入β2刺激薬、ロイコトリエン受容体拮抗薬、テオフィリン徐放薬が処方されることがあります。長時間作用型吸入β2刺激薬とテオフィリン徐放薬は気管支を拡張する効果が、ロイコトリエン受容体拮抗薬には喘息の原因物質である「ロイコトリエン」をおさえる効果があります。
なお、初期の比較的軽い喘息には、クロモグリク酸ナトリウムが処方されることもあります。
喘息患者にとって大切なもうひとつの薬が、発作を鎮めるために使う発作治療薬です。発作治療薬にも多くの種類がありますが、最も一般的なのは短時間作用性吸入β2刺激薬です。これは気管支を拡張させるための薬で、即効性があり、かつ、噴霧式で手軽に使用できることから、広く処方されます。
このほか、短時間作用性吸入β2刺激薬と同じく気管支を拡張する効果のある抗コリン薬や、気管支の拡張と炎症を抑える効果のあるテオフィリン薬、炎症の悪化を防ぎ、喘息の発作を抑える経口ステロイド薬が処方されることがあります。
喘息は、症状をコントロールできればほぼ普通の生活が送れる病気です。必ず医師の指示に従い、適切なケアを続けてください。