記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/10/18
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
気管支喘息(喘息)は、気道が狭くなることで空気を肺に送れなくなり発作が起こる病気です。完全に治すことはできませんが、正しく発作がコントロールできれば普通の人と変わらない生活が送れるといわれています。この記事では、喘息発作のコントロールについて解説しています。
気管支喘息(以下喘息)の発作とは、息苦しいと感じたり、激しく咳き込んだり、呼吸時にゼーゼーという音やヒューヒューという音が聞こえるような症状が起こることです。なかには、胸に痛みを感じたり、喉に違和感を感じる人もいます。
喘息の人の気道は発作が起こっていない通常のときでも炎症があり、健康な状態の人よりも気道が狭く空気も通りにくく、粘膜も敏感になっています。そのため、ちょっとした刺激でも気道が狭くなってしまい、空気を肺に送れなくなってしまい発作が起こってしまうのです。
喘息発作が起こるきっかけとなるトリガーには、ダニやハウスダスト、タバコ、風邪、化学物質、温度差、気圧差など様々なものがあります。
喘息を完全に治すことは困難です。そのため、喘息の治療は発作をコントロールすることが目的になります。
発作をコントロールするためには、発作のきっかけになるような行動や物質を避けることと、医師の指示通り薬を正しく使うことが大切です。
喘息の治療薬には、発作を予防するための薬と発作が起こったとき症状を抑える薬の2種類があり、発作を予防するための薬を長期治療薬(コントローラー)、発作を抑える薬を発作治療薬(リリーバー)と呼びます。
下記で薬について詳しく説明していきましょう。
長期治療薬として、主に吸入ステロイド薬や長時間作用性β刺激薬などが用いられます。
吸入ステロイド薬には強い抗炎症作用があり、ゆっくりと効果が現れる特徴があります。使ったり使わなかったりや、途中で使用をやめてしまうと効果もなくなってしまうため、毎日使用する必要があります。
長時間作用性β刺激薬は、気管支を拡張する作用がある薬です。発作を静めるために使う短時間作用性吸入β刺激薬とは違い、基本的に毎日使用して発作をコントロールします。長時間作用性β刺激薬には吸入薬や貼り薬、内服薬など色々な種類があり、吸入ステロイド薬と併用して使用するのが一般的です。
発作が起きたときに症状を抑えるための薬が発作治療薬です。短時間作用性β刺激薬やテオフィリン薬、経口ステロイド薬などを用います。喘息発作が起こる頻度や発作治療薬の使用頻度が週1回以上の場合は発作がコントロールできていないことになるので、今後の管理について医師に相談しましょう。
喘息の人が日常生活を過ごすうえで大切なことは、まず医師の指示通りに薬を使うことです。自己判断で薬の使用をやめると症状が悪化してしまい今までしてきた治療が無駄になってしまうこともあります。
また喘息日記をつけて、その日の症状や体調などの日常生活を記録し、どういったときに症状が出やすいのかや、どのようにすると症状をコントロールできているのかなどを把握することにつながるため、医師も治療計画が立てやすくなります。
その他、室内の環境を整えたり、ストレスを溜めない生活を送ることも大切です。ダニやホコリ、ハウスダストなどは発作を引き起こす原因となるので、エアコンのフィルターなどもこまめに掃除するようにしましょう。また、タバコの煙は気道の炎症を悪化させるます。喫煙習慣がある人はすぐに禁煙を始めることをおすすめします。
喘息治療は発作を正しくコントロールすることが目的になります。そのためには医師と信頼関係を築き、適切な治療計画を立てていくことが大切です。変わったことがあったときは必ず報告するようにしましょう。また、自己判断で治療を中止することも厳禁です。発作をコントロールできれば、喘息の人でも通常の人とほとんど変わらない日常生活が送れるといわれているので、気長に治療を続けていきましょう。