記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/10/18
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
変形性膝関節症は高齢者に多い膝の病気です。膝に痛みが起こることが主症状ですが、この痛みはなぜ起こるかご存知でしょうか?この記事では、変形性膝関節症になるとなぜ痛みが起こるかについて紹介しています。
変形性膝関節症とは、加齢や体重の増加が原因で軟骨が損傷し関節内で炎症を起こすものです。関節軟骨の損傷が重なり骨が変形することで痛みが起こり、進行すると歩行障害に陥ることもあるため、高齢者の生き生きとした生活を妨げる一因となることもあります。
好発年齢はいわゆる高齢者、55歳以上といわれていますが、加齢だけでなく体重の増加や着地の衝撃なども原因となるため必ずしも高齢者にばかり起こる疾患ではありません。
膝に水が溜まり歩行や正座がしづらいなどの症状が現れた場合は整形外科を受診し、早期の治療を始めることをおすすめします。
変形性膝関節症は、加齢によって軟骨そのものが脆くなったり、体重の増加によって負荷がかかることで膝の関節軟骨が損傷することから始まります。関節軟骨とは関節の動きを滑らかにし、骨同士が直接ぶつからないように守る働きがありますが、損傷が進んでしまうと関節の動きが悪くなるだけでなく、骨が直接ぶつかってしまうようになってしまうため痛みが起こります。
また、軟骨の損傷がさらに進むと骨棘ができて膝の骨の変形します。骨棘は膝関節の動きをさらに悪くし、痛みの原因になることもあるため、症状がさらにひどくなっていくのです。痛みがひどくなり、歩き方や姿勢が偏ってしまうと、軟骨も偏って損傷してしまうため、さらに炎症や変形がひどくなるという悪循環に陥ってしまいます。
変形性膝関節症の痛みは、変形が進むにつれて膝関節の機能不全が伴うようになっていきます。膝の機能不全は姿勢の歪みにつながるためO脚などの原因になります。また、膝の可動域が低下して脚を伸ばしきったり完全に曲げることができなくなると、正座ができなくなったり、座ったり立ったりという日常の動作にも支障をきたすようになってしまいます。
日常の動作ができなくなると、次第に引きこもるようになったり寝たきりになってしまうようになり、認知症の発生リスクを高めてしまう要因になるのです。
変形性膝関節症の治療は主に保存療法と手術療法があります。
保存療法は、NSAID(非ステロイド性抗炎症剤)やステロイド剤で痛みや腫れを抑えたり、ヒアルロン酸の注射で関節の動きを滑らかにする薬物治療と並行し、理学療法士の指導のもとリハビリが慣行されます。リハビリは、ストレッチや水中歩行などで膝周りの筋肉の機能を高めることが中心です。
その他、症状によってはサポーターや固定具などが使われることもあります。
手術療法では内視鏡を使って軟骨のかけらを取り出したり骨棘を削る手術が行われ、変形や損傷が進んだものについては人工関節置換術が検討されます。人工関節置換術で痛みが劇的に改善し、歩けなかった人が歩けるようになったという症例も多くみられますが、正座ができるまで改善することは難しいといわれています。
人工関節の手術は長期の入院が必要になり、人工関節自体の寿命に注意する必要があります。手術のタイミングについては担当医と相談しながら、納得したうえで手術を受けるようにしてください。
変形性膝関節症は、加齢や体重増加などの膝の負担による膝の骨の損傷や変形が痛みの原因です。症状がひどくなれば日常生活が困難になり、寝たきりの状態に陥ってしまうこともあるのです。膝の異常に気づいたときは早めに整形外科を受診しましょう。また、周囲の人が変化に気づいてあげることも大切です。膝が痛いそぶりや正座ができないそぶりに気づいた場合は、一度整形外科に診てもらうようにすすめてあげてください。