抜毛症で自分の毛を抜いてしまう原因って?

2017/10/18 記事改定日: 2019/9/26
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

自分で自分の髪の毛を抜くことがクセになってしまう抜毛症は、とくに女性に多くみられます。
今回は抜毛症の原因と抜毛症になりやすい人の特徴について解説していきます。

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抜毛症の原因とは?

抜毛症は、自分で自分の髪の毛などの体毛を抜いてしまう病気です。抜毛症と似たような病気に強迫性障害がありますが、同じ病気ではありません。

抜毛症で抜くのは、髪の毛だけではなく、眉毛、まつげ、脇毛、陰毛、手や足の毛などの体毛の場合もあり、無意識に抜いてしまう場合もあれば、抜くのを止めようとしても止められない場合もあります。

抜毛症の原因ははっきりとわかっていませんがストレスとの関係性が指摘されており、抜毛癖がある人は毛を抜くことで気持ちをなだめていると考えられています。
このような行動は本人の意思とは関係なく、神経回路によるものです。

また、癖で抜いてしまう場合もありますが、これは不安やイライラなどのネガティブな感情に対処するための行動であって、自分を傷つけようとしてやっていることではない、と考えられています。

セロトニン説

脳の神経伝達物質のセロトニンが慢性的に不足していることが原因ではないかとする説もあります

セロトニンは精神をリラックスさせる作用がある脳内物質で、セロトニンが慢性的に不足していると、不安を感じてイライラしやすくなります。
するとそれを解消するために、毛を抜く行為に走ってしまうというわけです。

抜毛症になりやすいのはどんな人?

抜毛症は男性にも見られますが、女性の発症率が高いです。女性に多い理由には、月経によるホルモンバランスの変化、過激なダイエット、ストレスなどが挙げられます。

中学生や高校生などの思春期に発症するケースも多く、本人がこの症状で悩んでいることもあるため、心療内科や精神科などの受診をおすすめします。また、養育環境に問題がある場合に発症することもあるため、第三者に相談することも治療につながります。

抜毛症は治せるの?

抜毛症は治療することで症状を改善できることがあります。
毛を抜かなくなるよう導く根本的な治療は心療内科や精神科での心理療法、薬物療法などが主体となります。

心理療法では認知行動療法など医師や臨床心理士とのカウンセリングを重ねていき、薬物療法では患者それぞれの精神状態に合わせて向精神薬や抗不安薬などが投与されます。
しかし、これらの治療の効果は個人差が大きく、治療は患者一人一人の状態に合わせて進めていくため効果が現れるまでに時間を要することも多いです。

また、抜毛によって皮膚に炎症が起きたり、毛が生えてこなくなってしまうようなケースでは皮膚科での治療が必要になります。
抜毛した期間が長いほど症状は悪化し、場合によっては毛根に重大なダメージが加わって治療をしても毛が生えてこなくなってしまうこともありますので、できるだけ早く病院に相談するようにしましょう。

おわりに:抜毛症でお悩みなら、専門の医療機関で早めのケアを

多くの場合、抜毛症を引き起こすのはストレスと考えられています。年齢を経るにつれて改善するケースもありますが、根本的なストレスを解決するか、抜毛以外での適切なストレス対処法を習得しない限り、症状の改善が難しいという側面もあります。症状でお悩みの方は、早めに専門外来を受診してください。

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