【永井先生自筆コラム】シリーズ② 直接医師 vs 紹介会社医師

2017/10/18

永井 太郎 先生

記事監修医師

東京医科大学免疫学分野講師

永井 太郎 先生

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

俺様の持論はこうだ。

医療機関&健診機関(以下、まとめて単に『医療機関』)が給与等で同じ条件を提示するなら、医師からしたら直接よりも紹介会社を利用した方にメリットがある。理由は下記だ。

■ 紹介会社は勤務等に応じて医師に謝礼をくれている。
俺様は紹介会社から何回か『紹介手数料折半』を提示されたことがある。紹介手数料は給与の20%が多いから、給与10%増しみたいになる。
謝礼にポイント制を導入していて、獲得ポイントに応じて会員医師をランク付けしている紹介会社もある。ランクが上になると謝礼が増えるようにしている。

■ 多く利用すると、紹介会社は自分が希望する勤務を他の(医療機関にとってより好ましい)医師よりも優先して紹介してくれる。『医師1名のみを紹介する。医療機関は複数医師から選択することはできない。』としている紹介会社には、この目的もあるのだろう。
俺様はこういう経験がある。
A社を通して応募したところ「医療機関にとってより好ましい医師を優先して紹介することにした。」と断られた。そこでB社を通して同じ勤務を同じ条件で応募したところ、この医療機関は俺様を採用した。勤務時に医療機関にきいてみたら、こういう回答だった。
「俺様医師の方がA社医師よりも明らかに良かったので採用することにした。」

■ 医療機関からの交換や変更の依頼に応じると、紹介会社が「契約し直しだから」などと言って医療機関から手数料を取ってくれる。
医療機関担当者からこんな話を聞いたことがある。
「土日の日当直の勤務週交換、紹介会社医師からの依頼だと何もないのに、紹介会社医師に依頼すると変更手数料を払わされる。」
「『給与を払うから1時間早く来てもらえるかどうか確認してもらいたい。』と紹介会社に依頼したら、『契約のやり直しだから、キャンセル料を払っていったんキャンセルしてからの確認になる。』と言われた。」

■ 問題を起こして医療機関がクビにしようとしても、紹介会社が契約を理由に阻止してくれる。
医療機関担当者からこんな話を聞いたことがある。
「患者サイドにも職員サイドにも評判が悪い定期非常勤医師をクビにしようとしたが、紹介会社医師から『試し勤務をしたうえで1年契約をしたから、途中で終了でも最後までの給与と手数料を払ってもらう。払わないのなら、当社からの医師をすべて引き上げさせる。』と言われたので我慢して使った。」
「定期非常勤なのに直近6か月間の勤務が半分くらいだけだったのでクビにしようとしたが、紹介会社から『勤務回数は契約条件に入っていない。』と拒否された。」

医療機関にとっては『直接医師の方が紹介会社医師よりも上』なのだから、医療機関は『医師が紹介会社利用よりも直接を選択する』ようにしなければならない。こんなの簡単だよね。『直接医師の方が紹介会社医師よりも給与等の条件が上』にすればいいだけだ。直接or紹介会社利用での給与差を問題視する者もいるが、俺様は下記の理由で問題なしと判断している。

医師にも『紹介会社を利用するorしない』の選択権がある。「紹介会社を通してこの医療機関で勤務したから、これからも紹介会社を使わなければならない。」ということはない。こんなルールがあったら、その医療機関が紹介会社を使うことをやめたらもう勤務できなくなってしまうし、雑誌等の求人広告が無駄になってしまう。
よって、医師は、給与等が上の方がいいのなら直接で勤務すればいいし、紹介会社利用のメリットの方がいいのなら紹介会社を通せばいい。
また、「直接or紹介会社利用の理由で給与等に差をつけるのは不公平だからいけない。」と言う医療機関があるが、医療機関が差をつけずに同条件にしたら差がついているんだよね、不公平になっているんだよね。公平にするのなら、医療機関は差をつけなければならない。

と俺様は医師確保が円滑にいくように医療機関を指導してやっているのだが、俺様よりも紹介会社を信用し、そして紹介会社にいいように利用されている医療機関が多すぎて困ったものだ。この実情は次回で報告しよう。

関連記事