記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
2017/10/31
記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
子供の健康診断の結果を見てみたら、視力がガクッと下がっていた――保護者の方であれば心配になりますよね。では、低下してしまった子供の視力を回復させるにはどうしたらいいのでしょうか?
子供の視力低下の原因として、まず屈折障害が挙げられます。屈折障害の原因になり得るのが、近くを長時間見続けてしまう行為です。例えばゲームやスマートフォンなどを長く行っていると眼筋が常に緊張した状態になります。すると眼筋の柔軟性も低下してピントを上手く調節できなくなってしまうのです。子供の場合は時間を忘れて没頭することもありますから、親が注意する心掛けが大切です。
心因性視力障害も子供の視力低下に見られる原因です。これは心身症のひとつでストレスが原因で発症します。例えば親からの愛情不足、過干渉、習い事による負担、学校での友人関係など、様々な原因があります。心因性視力障害の場合は学校の検査で発見されるケースも多いですが、当人はそれまで視力障害に気付いていないこともあります。
子供の視力を回復させるために、専用のトレーニングを受けさせるケースも増えています。視力回復トレーニングは専門の施設を利用するほか、自宅で手軽に行える方法もありますが、肝心の効果については実証されていないものが多いのが実状です。あくまでも期待ができるという程度のもので、確実な回復ができるというわけではありません。
それよりも、確実にメガネで対策をすることが大切です。視力に不便があるままの状態ですと学校での生活にも影響し、授業に身が入らず成績の低下を招くといったことにもなりかねません。まずは快適な視野を保つことが大切ですから、メガネを使用させるようにし、トレーニングを行うにしてもさらなる低下を予防する程度の考えに留めておくのが良いでしょう。
メガネにまつわる噂のひとつに、「かけたりはずしたりすると近視がひどくなる」というものがあります。こうした噂については全くのデマであり医学的にも実証がされていないことです。
そもそもこのような噂が出るようになったのは、メガネの度がきつく感じられてしまうのが理由です。ずっと裸眼でいるとその状態に慣れますが、その際にメガネをかけると度がきつくなったように感じられることがあります。そして度がきつくなったイコール目が悪くなったというように勘違いをされ、そうした噂が流れるようになったのです。
たまに「メガネは目に良くない」といって無理に裸眼でいる方もいますが、却って目に負担が掛かりますので、必要な時はきちんと矯正することが大切です。
子供の場合、コンタクト着用は角膜を傷つけてしまうことがありますので、なるべく控えるようにした方が良いでしょう。異物を目に入れるからには正しく扱わなければいけませんが、子供ですと上手く扱えない可能性があります。
また、汚れが付着したまま装着したり、コンタクトを付けたまま目をゴシゴシしたりしても角膜を傷めてしまい危険です。 眼科でも子供のコンタクトの使用は推奨されておらず、できれば高校生以上になってからが望ましいと言えるでしょう。何らかの理由でコンタクトが必要な場合はきちんと眼科に相談をすると共に、定期検査を欠かさず受けるように心掛けることが大切です。
視力回復トレーニングやコンタクトなど、視力を回復させる方法にはさまざまなものがありますが、子供の場合には、メガネを着用させることが最も確実で安全な方法です。お子さんの視力低下がみられたら、まずはメガネを買ってあげましょう。