赤ちゃんが風邪をひいたときに気をつけること

2017/10/24

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

生まれてすぐの赤ちゃんは母親から免疫を受け継いでいるため風邪を引きにくいといわれています。しかし、だからといって風邪をひかないというわけではありません。この記事では、赤ちゃんの風邪の症状と予防について詳しく解説しています。また、病院に行くべき症状についても触れているので、参考にしてください。

赤ちゃんの風邪はどうやって気づけばいいの?


生まれて間もない赤ちゃんは母親からの免疫を持っているためにウイルスに感染しにくいといわれてはいますが、風邪をひくこともあります。赤ちゃんの風邪であっても、熱や鼻水、くしゃみ、咳など、基本的な症状は大人と変わりません。ただし、赤ちゃんはもともと体温が高く、発熱の目安は37.5℃以上です。着せすぎや布団のかけ過ぎ、泣き過ぎでも体温が上がりやすいので、落ち着かせたり着るものを減らしたりしてまずは様子を見て、体温をこまめに確認しましょう。

また、初期症状として、機嫌が悪く泣き続けることもあります。特に月齢が低いと空腹やおむつの不快感、ただ単に抱っこしてもらいたいなどの原因も考えられますが、授乳やおむつ替え、抱っこをしても長時間泣き続ける場合は体温を測ってみると良いでしょう。

どんな症状のときに病院に行けばいいの?


風邪だと思って様子を見ていた赤ちゃんに以下のような症状が現れたときは、診療時間外であっても速やかに急患診療所などを受診してください。

・生後3ヶ月未満児の38℃以上の発熱
・5分以上続くけいれん
・生後6ヶ月未満児のけいれん
・ぐったりしている
・ミルクや母乳を飲まない
・おしっこが出ていない
・オットセイの泣き声のように咳き込む
・呼吸が荒く苦しそう

特に生後3ヶ月未満の赤ちゃんの38℃以上の発熱では敗血症や細菌性髄膜炎などの重篤な感染症が考えられ、それ以上の赤ちゃんの場合でも気管支肺炎、乳幼児がかかりやすいRSウイルス感染症、インフルエンザなどの可能性が考えられます。また、乳児は自分で鼻をかむことができないため、母乳やミルクが飲めなない、呼吸が苦しそうといったひどい鼻づまりの際も、早めに受診しましょう。

治療と予防で気をつけること


月齢によっては服用可能なものもありますが、多くの市販の風邪薬は赤ちゃん向きではありません。そのため、薬が必要な場合は必ず受診して処方してもらいましょう。ただし、薬はあくまでも症状を抑えるためのものであり、風邪を治すためには症状に合わせたセルフケアが大切です。

・熱が上がっている最中はあたたかくする
・全身に汗をかいてきたら着替えさせ、わきの下などを冷やす
・こまめに水分を補給させる
・部屋を乾燥させすぎない
・鼻づまりがひどいときは吸引する(家庭用の吸引器を使用)

また、熱が高いと座薬(解熱剤)を使用したくなるかもしれませんが、熱が上がっている最中に座薬を使って解熱しても、再び熱は上がってしいます。座薬は医師と相談しながら上手に使用しましょう。

赤ちゃんの風邪を予防するためには


赤ちゃんが風邪をひくと、薬がまだうまく飲めなかったり母乳やミルクが飲みにくかったりすることで症状が長引くことも考えられるため、風邪をひかないようにすることが何よりも大切です。

・ショッピングモールやイベントなどの人が多いところを避ける
・赤ちゃんの父母やきょうだいの手洗いうがいを徹底する
・家族が風邪をひいたときはなるべく赤ちゃんとの接触を避ける

赤ちゃんの抵抗力を上げて風邪を防ぐことは難しいので、赤ちゃんの風邪の予防には、風邪のウイルスにさらさないことが第一です。また、上の兄弟や姉妹が幼稚園・保育園や学校から、父母が職場から風邪をもらってくることが多く、赤ちゃんにうつしてしまうこともあるため、家族全員の風邪予防を心がけましょう。

おわりに:変化に気づけるように赤ちゃんの変化に注意するとともに、家族全員で予防に努めよう

赤ちゃんの風邪の予防や治療には抵抗力をあげることが大切ですが、赤ちゃんの抵抗力をあげることは困難です。赤ちゃんの変化に注意し、危ない症状が現れたときはすぐに病院を受診できるようにしましょう。また、家族全員で風邪予防に努める必要もあります。風邪の流行シーズンに外出するときには、とくに気をつけるようにしてください。

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