場面緘黙症(ばめんかんもくしょう)を乗り越えるために大切なこと

2017/10/30 記事改定日: 2019/10/8
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

家では普通に喋るのに、保育園では全然喋らなくなってしまう――そんなお子さんの症状でお悩みではないですか?もしかしたらそれは、「場面緘黙症(ばめんかんもくしょう)」かもしれません。
ここでは、場面緘黙症の特徴や原因などについて解説していきます。

場面緘黙症(ばめんかんもくしょう)の原因とは?

場面緘黙症(ばめんかんもくしょう)とは、普段はしっかりとした会話ができるのに、学校などでは途端に声が出なくなってしまう状態のことです。

たとえば、家では親とちゃんとした会話ができるのに、特定の場所や相手の前、学校の先生の前などに立つと喋ることがままならなくなってしまう、といった状態になってしまいます。

場面緘黙症の原因はわかっていませんが、考えられる要因として

  • 当人が不安になりやすい気質である
  • 転校や引っ越しなどで環境が変わった
  • 発達の状態
  • いじめなどの要因
  • 大人からの叱責

などが複合的に合わさっていることなどが挙げられます。
なお、現状では親の育て方は関連性が低いことも指摘されています。

場面緘黙症の人の症状や特徴

1カ月以上特定の場所において誰とも喋っていないような状態が続いている場合、場面緘黙症と判断されることがあります。
一方、緘動(かんどう)と呼ばれる、自分の思い通りに体が動かせなくなる症状も、場面緘黙症の特徴的な症状です。

ただ、場面緘黙症の子供は家では普通に会話できるため、学校教員や保育士などから指摘がない限り、気づくことは難しい傾向にあります。
学校や保育園で極端に友達が少ない、コミュニケーションがあまり得意ではない、言葉数が少ないといったところから発見するしかない、見逃しやすい症状といえるでしょう。

場面緘黙症の子供と接するときに気をつけること

場面緘黙症の子供と接する場合にやってはいけないこととしては、「喋らないことに対しての叱責」が挙げられます。

教員によってはつい叱りつけるような指導をしたり、または教員から指摘を受けた保護者が「なぜ喋らないの?」と子供に叱責したりすることがありますが、これはやってはいけないことです。

また、学校では周りを巻き込む形でプレッシャーをかけて喋らせようとしたり、大きな声を出さないときに周りにも罰を与える、というような形で無理やり話させようとするケースもあるようですが、これもあまりおすすめできません。

もし、家でも同じようなことをしてしまえば、子供はますます黙ってしまいます。
家庭では温かく受け入れ、教員に対しても理解を求め、周囲の理解を深めていくことが大切です。

場面緘黙症の治療時の注意点

幼児期にすぐ発見し、また早期治療することが、場面緘黙症を早期に改善させる要因となります。
以下のような方法でコミュニケーションの成功体験を少しずつ増やしながら、悩みを克服していくことで治療を進めていきます。

  • 教員との連絡ノートを通じてコミュニケーションを図る
  • 筆談で話をする

このような方法で信頼関係を深めながら、コミュニケーションをとることの楽しさを感じてもらいながら治療をしていきます。

場面緘黙症では、薬を飲んだり入院するといった治療は必要ありません。
悩みを乗り越えられるようにコミュニケーションを工夫していくことが治療となります。

大人の場面緘黙症について

場面緘黙症は大人でも発症することがあります。

大人の場合は子供よりも仕事など日常生活や社会生活に支障を来たす場面も多く、深刻な支障を来たしている人も少なくありません。

また、なかには社会に出ることに恐怖を感じて引きこもりになってしまう人もいると考えられます。仕事では職場の協力を得て、業務内容を見直したり、必要に応じて筆談やタブレットなどを用いた会話をするなどの工夫が必要です。

また、場面緘黙症は発達障害の一つです。このため、重症度によっては精神障害者保健福祉手帳の交付を受けることもできます。また、発達障害者支援法に基づいて就労移行支援などを利用して就職活動をサポートしてくれるサービスを活用することもできます。

どのようなサービスを受けられるかはお住いの自治体によっても異なるため、まずはお近くの保健所や精神保健福祉センター、社会福祉事務所、かかりつけの病院窓口などに相談しましょう。

おわりに:場面緘黙症の克服には、周囲の人の理解と適切な対処が大切

場面緘黙症は、気質や環境など、さまざまな要因によって引き起こされると考えられています。本人に原因があるとは限らず、治療薬などもないので不安に思う保護者も多いでしょうが、幼児期のうちに適切な対処を始めることができれば、改善が見込めます。
大切なのは、学校や保育園、幼稚園などの先生とコミュニケーションをとりながら、子供が普段、家以外ではどのように過ごしているかを知ることです。

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