記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/10/30 記事改定日: 2018/3/15
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
こめかみ周辺や、目の奥が痛くなるタイプの頭痛の正体は、いったい何でしょうか?考えられる原因や対処法について、症状別に詳しく解説していきます。
頭痛でも、目の奥でえぐれるような激しい痛みを伴う場合、「群発頭痛」の可能性があります。
群発頭痛は、頭痛の中でも発症数の少ない頭痛で、20~40代の男性に多くみられます。群発頭痛という名前は、群発地震のようにある期間に集中して頭痛が起こることからつけられています。
群発頭痛の症状は、強い痛みが特徴です。特に目の奥を突き刺すような強烈な痛みと表され、キリで刺されたような痛みだと表現する人もいます。主にこめかみ周辺の痛みが強く、さらに1~2時間程度は痛みが続くため、冷や汗をかいてじっとしていられず動きまわったり、床を転げまわったりる人もいるほどです。多くの場合、強烈な強い痛みは片側だけに起こり、また痛む場所は目の奥やその周囲、こめかみ、上あごのあたりがほとんどです。
痛みの他に、目の充血や涙、鼻水を伴うことがあり、顔全体が赤くなることもあります。まぶたが腫れたり、まぶたが下がったりする症状もあります。これらも、痛みが起きている片側だけに起こるものです。中には首の痛みを訴える人もいます。
季節の変わり目など何かのきっかけで群発頭痛を起こすようになると、そこから約1~2カ月は毎日のように痛みに苦しむことになります。しばらく続いた後は頭痛が起こらなくなり、半年~3年ほどの症状がなくなりますが、そのまま治ってしまうということはありません。また、何かのきっかけで頭痛が再発するという流れを繰り返します。
群発頭痛がおこる原因ははっきりとはわかっていません。ただ、研究によると頭部の血管が何らかの原因で拡張したことが原因で、痛みを引き起こしていると考えられています。
群発頭痛の場合には、目の奥にある内頸動脈が拡張し炎症を起こしていることが原因で、目の奥に痛みがでると言われています。また、自律神経の乱れを原因とする説もあり、自律神経が刺激されることで、涙腺の働きや瞳孔の大きさをコントロールしている機能が乱され、涙が出る、瞳孔が小さくなるといった症状がでるとも考えられています。
ほかには、アルコールの摂取や喫煙、気圧の変化も、群発頭痛に関係しているといわれています。
目の奥の痛みや頭痛だけでなく、吐き気や目の見えにくさなどが起こった場合は、「急性緑内障」の可能性があります。急激な眼圧の上昇が原因となって起こる病変で、早期に眼圧を下げないと数日以内に失明する恐れがあるため、すぐに眼科を受診してください。
また、他にも眼精疲労やVTD症候群(PCやスマートフォンの長時間使用で起こる目の症状)も考えられる原因の一つです。目の酷使やスマートフォンの長時間使用は自律神経を乱れさせ、目の奥の痛みや頭痛、吐き気、肩こり、倦怠感などのさまざまな不調を引き起こすことがあります。
上記以外の原因としては、「副鼻腔炎」「頚椎の負担」が考えられます。
副鼻腔炎(蓄膿症とも呼ばれる)とは、眉間周辺の空洞(副鼻腔)で起こる炎症のことです。風邪などの細菌が副鼻腔に入って増殖し、副鼻腔内に膿が溜まることで、目の奥に痛みが生じるようになります。
普段から猫背気味で姿勢が悪かったり、長時間のPC作業などで前かがみの姿勢をとりがちな方は、頭が前に倒れて首の骨(頚椎)に負担がかかっていることがあります。これにより頚椎に問題が生じると、目の奥が痛くなる可能性があります。
目の奥の痛みや頭痛の対処法を、原因ごとにご紹介します(急性緑内障や副鼻腔炎の場合は、原因疾患を治療することが大切です)。
群発頭痛に対処するには、引き金となっているものを避けることが最も重要です。例えばアルコールが引き金になっている場合には、必ず禁酒しましょう。タバコが引き金になっている場合には、禁煙してください。
気圧の変化については飛行機に乗る時に起こることが多いため、群発頭痛が起きている期間は飛行機に乗らないで済むようにスケジュールを調整したり、周囲の協力を得たりすることが大切です。なかなか難しいことかもしれませんが、引き金となるものをなくすことが群発頭痛を起こさない数少ない予防法です。
お使いのメガネやコンタクトが合っているか、まず確認しましょう。コンタクトは装着時間を厳守することも大切です。また、普段PC業務をされている方は画面から最低40cmの距離をとり、できればブルーライトカットのメガネに変えましょう。作業の合間にストレッチをしたり、目を休めたりすることも有効です。
「目の奥が突き刺されたように痛い」など、強烈な痛みを感じる場合は、群発頭痛の可能性があります。また、痛みがそこまで酷くなくても、吐き気を伴ったりする場合は目の疾患の可能性があるので、いずれも専門外来で診断を受けることが大切です。