記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/12/8
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
一般的に、小学校を入学する時期くらいになると、徐々におねしょはみられなくなります。しかしこの時期になってもおねしょが続くようなら、「夜尿症」の可能性があります。今回はこの夜尿症について、原因や治療法などを解説していきます。
子供は2歳ごろまでは頻繁におねしょをすることがありますが、これは排尿に関するメカニズムが未発達なために起きる現象であり、通常は年齢が高くなるにつれ減っていくものです。にもかかわらず5、6歳を過ぎてもおねしょをしてしまう場合は、夜尿症と診断されます。まれではあるものの、成人になっても夜尿症が治まらない人もいます。
夜尿症になる原因としては、主に夜の尿量が多いこと、夜間の膀胱容量がもともと小さいために朝起きるまでもたないことなどが考えられ、その原因ごとに「多尿型」「膀胱型」「混合型」の3タイプに分けられます。夜間尿量が多く、膀胱容量が正常の場合は「多尿型」、夜間尿量が多く、膀胱容量が小さい 場合は「混合型」、夜間尿量が正常で、膀胱容量が小さい場合は「膀胱型」になります(膀胱型は、日中も夜間も膀胱容量が小さいタイプと、夜間のみ膀胱容量が小さいタイプに分けられます)。
またほかに、家庭や学校での人間関係がうまくいかないなど、何らかの強いストレスを抱えている場合も夜尿症になりやすいといわれています。
夜尿症の治療は、生活習慣の見直しが主で、夜起こさない、寝る前の水分を控える、就寝前にはトイレに行く習慣をつけるといったことを行っていきます。生活習慣に注意すれば、少しずつおねしょの回数を減らしていくことが出来ます。なお、薬物療法を行う場合は、抗利尿ホルモン薬や抗コリン薬、三環系抗うつ薬などの内服薬や漢方薬を処方します。
なお、夜尿以外に特徴的な症状がみられる場合、夜尿症ではない別の病気の可能性が考えられます。
例えば糖尿病や尿崩症などの内分泌疾患の場合、夜尿だけでなく多尿や、水分を過度に摂取するといった症状がみられます。また、昼間に尿失禁がみられる場合は、膀胱炎などの泌尿器疾患の可能性が考えられます。睡眠時無呼吸も夜尿の頻度が高いとされているので、睡眠時の過度のいびきや無呼吸などの症状がみられた場合は、睡眠時無呼吸による夜尿の可能性を疑いましょう。
お子さんが成長しても夜尿がみられることで、不安に思う保護者の方は少なくありませんが、最終的にほとんどの夜尿症は治癒していきます。ただ、夜尿を引き起こす原因などによって治療期間には個人差があるので、専門医のもとで焦らず適切な治療を続けていくようにしましょう。