記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/10/31 記事改定日: 2020/7/3
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
比較的若い男性が発症する率が高い疾患に「急性尿道炎」があります。感染経路や痛みのほかの症状や以降でその詳しい発症原因や症状、治療法などをまとめました。
急性尿道炎は、尿道にクラミジアや淋菌などに感染し、尿道炎の症状が出てしまう病気で、女性よりも尿道の長い男性の方が発症率が高いです。
性行為で感染することが多いですが、オーラルセックスによって喉に病原菌が残り、口から感染することで尿道炎になることもあります。
不特定多数の相手と性行為をする方は、特に感染リスクが高いので注意が必要です。
潜伏期間はほんの数日で、症状が悪化すると膿が出てきて痛みを伴うのですぐに気が付きます。急性尿道炎かどうかは、病院での尿検査によって、尿の中に菌が繁殖しているかを調べることで診断できます。
急性尿道炎に感染すると、次のような症状があらわれます。
尿道炎で出てきた膿は、細菌と体を守るために闘った白血球の死骸です。その膿の色と状態を調べることで何の菌に感染しているのか特定することができます。
黄色っぽい白色もしくは黄緑色で粘り気のある膿が出ているときには、膿性尿道炎の可能性が高いです。この膿性尿道炎はおよそ8割が淋菌によるものです。
膿が透明がかっており、粘り気のないものであった場合には、漿液性(しょうえきせい)尿道炎の可能性が考えられます。漿液性尿道炎の約半数は、クラミジアが原因によるものです。
なお、細菌に感染するのは一種類だけとは限らず、膿性尿道炎と漿液性尿道炎の特徴が混じった膿が出ることもあります。
急性尿道炎の主な原因は、性行為を通じて尿道に淋菌とクラミジアなどの細菌が入り込んだことです。感染する行為としては、通常の性行為だけでなくオーラルセックスも挙げられます。
他にも、大腸菌やブドウ球菌、マイコプラズマといった雑菌、トリコモナスといった原虫が尿道炎を引き起こすこともあります。
また、尿道に細菌が付着することで感染するので、タオルの共有で感染してしまう可能性もありますが、極めてまれなので過度に心配する必要はありません。
膿や排尿痛などがあるときは、すぐに病院で診てもらいましょう。
採集した尿の白血球の数や、顕微鏡による細菌の確認によって行われます。ただ、顕微鏡で見つけることが出来ない大きさの細菌もあるので、そういったときには遺伝子を人工的に増やすPCR法を使います。
一般的には、抗生物質を飲むことでほとんどの急性尿道炎は治ります。薬剤耐性菌が原因の場合など、抗生物質で症状が改善しない場合には、複数の薬に切り替えていきます。また、完全に回復するまで痛みは続くので、鎮痛薬の投与を行うこともあります。
急性尿道炎を引き起こすクラミジアやマイコプラズマなどの病原体は完全に尿道から排除できていない場合でも自覚症状が軽減することがあります。しかし、そのまま放置してしまうと尿道に慢性的な弱い炎症を引き起こすことも多く、急性尿道炎が再発しやすくなったり、性行為時などにパートナーに感染させたしまったりするケースもあります。
このような事態を防ぐためにも、急性尿道炎を発症した場合は症状がなくなっても再検査を行ってしっかり除菌できていることを確認する必要があるのです。
急性尿道炎の主な原因は、性行為やオーラルセックスによるものです。不特定多数の相手と行為をするときは、きちんとコンドームをつけるなど、対策を徹底しましょう。もしも尿道から膿が出たり、排尿痛に悩まされたりしたら、悪化する前にすぐ病院を受診してください。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。