記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/10/31
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
お子さんのトイレに行く回数が多く、気になっていませんか?「頻尿=大人特有の症状」とのイメージをお持ちの方も少なくありませんが、実は子供でも頻尿になることがあります。以降で、そんな子供の頻尿の原因などについて解説していきます。
子供の頻尿の場合、原因は病気によるものと心因性のものとに分かれます。病気によるものとしては、膀胱炎が有名です。清潔にしていない尿道から細菌が入りこんだことが原因ですが、子供は自分の尿の状態を説明しないために発見が遅れることが多く、注意が必要です。
ただ、子供の頻尿は心因性によるものが一番多いとされています。例えば、引っ越しなどで環境が変わることや、弟や妹ができたこと、叱責を受けたこと、家庭内でトラブルが起きていることなどがストレスとなり、頻尿を起こすことがあります。特に、緊張による頻尿は子供に起こりやすいものです。
膀胱炎が原因の頻尿の場合、細菌感染によって尿道が刺激されるので、排尿中枢が刺激を受け、膀胱に尿が溜まる前に尿意を催すという特徴があります。また、排尿する時に痛みを感じる、高熱が出るというのも特徴的な症状です。
また、過活動膀胱によって頻尿が引き起こされているケースも存在します。この場合はトイレに行きたいわけではないタイミングで突如膀胱が縮み、急にトイレに行きたくなるのが特徴です。
細菌感染による膀胱炎が原因の場合は、抗菌薬による治療が一般的です。ただ、過活動膀胱が原因の場合は、膀胱が未成熟なことが要因のため、成長による自然治癒を期待して経過観察をすることが多いです。ただ、ストレスをかけると悪影響を与えるため、過活動膀胱の子供に対しては、ちゃんとトイレに行けたかなどのプレッシャーをかけずに、こまめにトイレに行かせるのが治療のコツです。
心因性の場合、膀胱炎のように排尿時の痛みもなければ高熱もありません。むしろ、普通の子供と同じように元気です。しかも、元気に遊んでいるなど集中しているときには頻尿になりにくいことも指摘されています。ただ、緊張を強いられる場合、特に自分のタイミングにトイレに行くことができない場合などは頻尿になりやすく、そこでトイレに間に合わないとなるとその症状を一気に悪化させてしまいます。
こうしたことから、心因性の場合はストレスを取り除くことが治療方針となります。子供の場合、トイレを失敗することはかなりのショックであり、また同じ場面に出くわしたらどうしようという不安に襲われます。その時に、過度に叱り付けるとそれもまた恐怖に感じ、さらなる悪循環へとなります。まずはトイレを我慢させない習慣を身につけさせ、失敗しても温かく見守る、スキンシップをとる、トイレの回数が多くても咎めない、といったことを心がけましょう。
子供の頻尿は、膀胱炎などの病気が原因の場合もありますが、多くはストレスが原因とされています。過度な干渉はかえってストレスを与える恐れがあるので、お子さんに頻尿の症状がみられても決して咎めず、やさしく見守ってあげるようにしてください。