胆道閉鎖症の症状に早く気づくために注意することとは

2017/10/31

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

胆道閉鎖症は赤ちゃんに発症する肝臓・胆管の病気です。黄疸などの症状が現れ、治療が遅くなると回復が難しくなることがあります。この記事では胆道閉鎖症の症状と症状に早期に気づくための注意点を紹介しているので参考にしてください。

胆道閉鎖症とは

胆道閉鎖症は、生後まもない赤ちゃんが発症する、肝臓および胆管の病気です。

胆汁は、肝臓で作られ胆管を通って十二指腸に流れ、ここで食物と混じって栄養素の吸収を助けます。胆道閉鎖症は、この胆汁の通り道である胆管が何らかの理由で塞がってしまい、胆汁を腸管内へ排泄できなくなる病気です。胎内で一度作られた胆管が、ウイルス感染やその他の何らかの原因による炎症で閉塞することが主な原因と考えられていますが、正確には分かっていません。

胆道閉鎖症は、男女比では女児に多く、出現頻度は1万人に約1人とされ、国内の患者数は約3,500人と推定されています。遺伝性は明らかではありません。合併奇形の頻度は全体では約10%程度で、例として脾臓の異常や心大血管奇形が挙げられます。

胆道閉鎖症の症状

ミルクもよく飲み、比較的赤ちゃんは元気さを保ちます。主な症状としては、「生後14日以降も持続する、皮膚や白目の黄疸」、「灰白色ないし淡黄色の便」、「褐色の尿」、「肝脾腫大」が挙げられます。肝脾腫大とは、病気の進行に伴い、お腹の右上にある肝臓とお腹の左上にある脾臓が徐々に大きくなり、外から触れるようになることです。

また胆汁が腸管内へ排泄されず、脂溶性ビタミンの吸収障害が生じると、ビタミンK欠乏性凝固障害が生じます。この結果、出血しやすくなり、脳出血などを起こすケースが約10%ほどの確率で起こっているといわれています。

どのようなときに病院に行けばいいか?

腸に胆汁が流れていないため、生後2週間以上たっても黄疸が消えないことが特徴となります。後述するように、早い段階で適切な処置を受けないと、黄疸が後々まで残ります。

また尿中に胆汁の分解産物が流れるため、尿は茶褐色になります。
加えて便色異常も、胆道閉鎖症を疑うべき症状です。生後2ヶ月、3ヶ月と経過するに従い、便の白っぽさ(灰色がかった白色,クリーム色やレモン色のこともあります)が明確になっていきます。この病気を早く見つけるため、現在、母子手帳に便カラーカードが挟み込まれています。カードの色見本(1~7番)と赤ちゃんの便の色と見比べて、もし1から3番に近かったら、すぐに専門医を受診するようにしましょう。

胆道閉鎖症の治療について

手術法には、胆管の閉塞部を取り除いて胆汁の流出を図る方法と、肝臓自体を取り替える肝移植術がありますが、一般的にはまず胆汁流出を行います。多くの場合には、肝臓からの出口で胆管が既に塞がっているので、肝臓の外の胆管をすべて取り除き、肝臓側の断端を腸管で被うように、肝臓そのものと腸管とを吻合する術式が用いられます。

ある機関の集計によると、胆道閉鎖症手術1年後の患児の容態は、黄疸がなく自分の肝臓で生存している確率が約57%となっています。この手術による黄疸消失率は手術を受ける時期と関連があり、生後60日以内に手術をすると約90%の子供の黄疸は良くなるとされ、手術が成功すれば、その後は正常と変わらない生活ができるといわれています。ただし、長期間経過後での合併症出現もあるため定期的な通院によるチェックが必要です。

一方で手術後も黄疸がなくならない場合や黄疸がなくなっても肝臓が徐々に硬くなるような場合には、やがて肝硬変となり、さらに肝不全に進みます。このような場合は腹水が溜ったり、栄養状態が悪化するため、現段階では肝臓移植以外には治療の方法がありません。

手術後長い期間にわたって気をつけなければならない主な合併症も多いため、生涯に渡って定期通院を行うことが求められます。

おわりに:胆道閉鎖症は早期発見早期治療が重要。黄疸が続くときは要注意

早い段階で手術をしないと黄疸が消えず、肝硬変への道をたどるといわれています。生後60日が目安とされており、早期発見、早期治療が何より重要です。黄疸や便の色など赤ちゃんの状態に気を配り、異常があればできるだけ早く受診して手術を受けることが必要です。

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