広場恐怖(広場恐怖症)とはどのようなものか

2017/11/20

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

電車やバスの中、あるいは映画館の中など、閉ざされた特定の空間で体調が悪くなった経験はありませんか?もしかするとそれは、「広場恐怖(広場恐怖症)」かもしれません。詳しい症状や、患者さんへの適切な接し方については、以下をご参照ください。

広場恐怖(広場恐怖症)とは

広場恐怖は、簡単に抜け出すことができない場所において恐怖を感じ、それに伴う症状を訴えるものとなります。ここでいう場所の具体例としては、電車やバスの中、教室、映画館、人が多く訪れる行楽地などが挙げられます。広場恐怖という名前のイメージから、公園などの広場を想像される方も少なくありませんが、閉ざされた空間で人が多くいるような状況で起きる諸症状を指します。

広場恐怖を発症する要因

広場恐怖を発症する要因にはさまざまなものがありますが、まず原因のひとつがトラウマです。子供の時に経験したことがトラウマとなり、それが広場恐怖症につながることはよくあります。体育館にいたら、上から何かが落ちてきて、危うくそれにぶつかりそうになったというのでも、それがトラウマとなり、広場恐怖症になってしまうこともあります。

一方、元々精神的に弱っているときに不安や恐怖を感じる出来事を経験することで発症するケースもあるなど、原因が1つではないことは明らかです。ただ一般的に、不安や恐怖を感じやすいという人は広場恐怖症になりやすい傾向にあります。

広場恐怖の症状にはどのようなものがあるか

広場恐怖の代表的な症状は、特定の状況になると芽生える恐怖感です。例えば、電車やバスに乗るのが怖い、人ごみの中に入ると過度な緊張をして気持ち悪くなる、なども広場恐怖症の症状の代表例です。

他には、不安に襲われ、自律神経が乱れることによる症状も確認されています。息苦しくなる、めまいがする、動悸がするといったもので、一度この症状を経験すると、同じ状況に直面した時にさらなる不安となり、悪化する恐れがあります。また、こうした症状を再度経験したくないために、電車やバスなどを利用しないなどの回避行動に出てしまうケースも増えるようになります。

広場恐怖の人が身近にいたら

広場恐怖ではない人からすれば、特定の場面になると動悸がひどくなる、恐怖を感じるということが理解できず、ついからかってしまうケースも少なくありません。しかし、本人からすれば生命を左右する一大事であるため、決してからかってはならず、まずは広場恐怖の人に対して配慮を示すことが大切です。

また、回避行動をとったとしてもそれを咎めてはならず、一言でもいいので「無理をしないでね」「大変だね」といった言葉をかけ、安心感を与えてあげてください。そうした場所に無理に連れ出そうとはせず、広場恐怖の克服に向けて一歩ずつ前進できるよう、サポートをしていく姿勢を心がけましょう。

おわりに:広場恐怖を咎めるのはNG。温かく見守る姿勢を

子供の頃に体験したトラウマなどが原因で起こることのある広場恐怖。身近でもし広場恐怖の人がいた場合、回避行動をとるために特定の交通手段が使えなくなったりすることもありますが、そういうときは決して咎めず、温かく見守るような姿勢を心がけてください。

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