緑内障とは!? 失明を防ぐために知っておくべき原因と症状について

2017/11/2 記事改定日: 2018/4/3
記事改定回数:1回

渡辺 先生

記事監修医師

東京都内大学病院眼科勤務医

渡辺 先生

「緑内障」は非常に有名な眼病の一種です。今回の記事では緑内障の症状や発症の原因、治療法などを幅広くご紹介していきます。
発見が遅れないようにするために、正しい知識を身につけて失明リスクを減らしましょう。

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緑内障とは

緑内障とは、視神経に何らかの異常が起こり、目から伝えられた情報が正確に伝わらず、視野が狭くなってしまう病気のことです。治療をしないで放っておくと、失明してしまう場合もあります。

緑内障には、「原発開放隅角緑内障」「正常眼圧緑内障」「原発閉塞隅角緑内障」「発達緑内障」などいくつかの種類があります。原発開放隅角緑内障は目の線維柱帯が目詰まりを起こし、うまく房水が流出されないために眼圧が上昇する病気、正常眼圧緑内障は眼圧は正常なのに視野が狭くなる病気、原発閉塞隅角緑内障は房水の流れが妨げられ、急激な眼圧症状が起こる病気(急性型と慢性型があります)、発達緑内障は生まれつき隅角に異常があり、眼圧が常に上昇してしまう病気です。

緑内障に必要な検査 ―  眼圧検査・視野検査・眼底検査について

緑内障の発見には、眼科で詳しい検査を受ける必要があります。一般的な検査として次の3つの検査が行われます

眼圧検査

緑内障では眼圧が上昇することが多いため、眼圧を調べる検査が行われます。検査方法は非常に簡単で、目に風を当てて目が押し返す力を図ります。目に風が当たりますので違和感はありますが、一瞬でおわる検査です。

視野検査

視野の狭まりは、緑内障の重大な症状の一つです。緑内障の進行具合を判定するためにも視野検査が行われます。視野検査は、様々な場所が光る画面を、目を動かさずに見て、光っているところがあれば合図のブザーを押すという行為を繰り返して行われます。これによって視野がかけている部分が図面上で示されるのです。

眼底検査

眼底検査とは、目の奥を観察する検査です。緑内障の眼底は、視神経が眼球から出る穴が大きくなっているのが特徴で、自覚症状がなくても眼底検査でこのような所見がある場合には緑内障が疑われます。

主に行われる検査はこの3つですが、その他の検査として、緑内障の早期診断に有効であると言われる光干渉断層計(OCT)によって網膜の断面を観察する検査や、隅角の観察を行う特殊な検査が行われるとこもあります。

MD値について

MD値とは、視野検査で使われる指標のことです。
人の視野は加齢による網膜の変化で、正常な人でも狭くなります。ですから、視野検査で視野が欠けていることがわかったとしても、その程度が年齢相応かどうかの判断が必要です。そこで使用される指標がMD値です。

MD値は、同じ年齢の健常者と比べて「どの程度視野が狭くなっているのか」を表したものです。緑内障の中でもMD値が6以下を軽症、6~12を中等症、12以上を重症と分類します。
また、MD値は緑内障の診断だけでなく、緑内障患者の経過観察を行う上で、症状の進行度を評価するためにも重要な指標となります。

緑内障発症の原因とは!?

緑内障の多くは、眼圧が高くなることが原因で発症するといわれています。眼圧が高くなる原因は生まれつきの場合もありますが、はっきりとは分からないことも多くあります。

ただ、緑内障は年齢が上がるにつれて、発症する人は増えていくことから、発症には加齢が関連していることが分かっています。人の体は年齢を重ねることによって老化していきますが、目の視神経も例外ではありません。加齢によって視神経も老化し、脆弱になっていくのです。

特に40歳を超えると、緑内障の発症数が大きく増えることが分かっています。そのため40歳を過ぎたら、眼科などで定期的な検診を受けることが重要です。また、生まれつき眼圧が高めの人や緑内障のご家族がいる人、片頭痛持ちの人、近視がある人などは発症するリスクが高いとされています。

糖尿病と緑内障

目に起こる糖尿病の合併症では網膜症が有名ですが、この網膜症が悪化すると緑内障を発症することがあります。
糖尿病性網膜症は、網膜の中の細かい血管が動脈硬化を起こすことで血流が悪くなり、次々に新しい血管が生まれます。新しい血管が虹彩や隅角に生じると、房水の通り道が物理的に狭くなり、房水の流出が滞ることで眼圧が上昇しやすくなります。その結果、緑内障を発症するのです。

糖尿病による網膜症や緑内障は失明の原因になりますので、糖尿病の人は定期的に眼科で検査を受けることをおすすめします。

緑内障の治療法 ― 点眼薬治療と外科手術

緑内障の治療法には、点眼薬による薬物療法や手術といった外科的療法があります。

薬物療法では、眼圧を下げる作用のある点眼薬を用います。眼圧を低下させることによって、症状の進行を抑えることができます。
点眼薬を使っても効果が得られない場合には、房水の流れを良くするレーザー療法や線維柱帯の一部を取り除く線維柱帯切除術などの外科的治療が検討されます。

失明を防ぐために大切なこと

緑内障は、一度発症してしまうと完治は難しいため、ずっと付き合っていかなければいけない病気とされています。治療も、症状が悪化するのを抑える目的で行うものです。症状が進行した場合には失明する恐れもありますが、早期に発見して早期に治療を行うことで失明を防ぐことができます。

どんな症状に気をつければいいの?

緑内障には、慢性のものと急性のものとがあります。

急性緑内障は、急激に眼圧が上昇し、強い目の痛みや充血といった症状が現れます。頭痛や吐き気、めまいなどの症状が現れることもあります。

慢性緑内障は、病気が進行してからでないと自覚症状が現れることはありません。典型的な症状の1つとして、視野の一部が見えなくなる症状があります。普段はもう片方の目が欠けている視野をカバーするので、なかなか症状に気づきにくいですが、見えにくいことに気付いた時には大分進行してしまっていることもあります。
また、一度失われてしまった視野は、取り戻すことができません。早期に発見して治療を行うことがとても大切です。

おわりに:緑内障は早期発見が失明を回避するカギになる!

発見が遅れてしまうことも多々ある緑内障は、症状が進行すると失明に発展する恐れがあります。視界の見えにくさなど目の異変に気づいたら、すぐに眼科を受診しましょう。

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