本態性振戦は治せる?どんなときに病院へ行けばいい?

2017/11/27 記事改定日: 2018/7/19
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

特に大きな持病があるわけではないのに、手や声などが震える症状が起こることを「本態性振戦」といいます。今回の記事ではこの本態性振戦について、特徴や治療の必要性などを中心に解説していきます。

本態性振戦とは?治療は必要?

震えは、何らかの病気が原因で発生することもあります。しかし、原因となるような病気がないまたは原因が定かではないのに震えが出る場合、それを本態性振戦と呼びます。震えの症状が本態性振戦によるものであるケースは少なくないといわれています。

本態性振戦の「本態性」には、原因不明という意味があり「振戦」には、筋肉の収縮、弛緩が繰り返され、自分の意思とは無関係に細かな震えが起こるという意味があります。このふたつの言葉を理解すると、本態性振戦の症状も理解しやすいのではないでしょうか。

本態性振戦は、生命の危機に関わると言った類の病気ではありません。しかし、震えによって日常生活を営むのに支障が出てきたり、人目を気にし過ぎて外出の機会が失われてしまうと言ったことは考えられます。そのような場合には、然るべき治療が必要です。

本態性振戦が疑われる症状とは?

本態性振戦の特徴は、手や声の震え以外に症状がないことです。
本態性振戦は次のようなタイプの振戦が生じます。多く当て余る人は本態性振戦の可能性が高いため、神経内科などを受診して診察を受けてみましょう。

  • 字を書こうとした途端に手が震えて上手く書くことができない
  • 物を持ち上げようとすると手が震える
  • 手が震えて箸やスプーンが上手く使えない
  • 姿勢を正そうとすると腕や脚、頭が震える
  • 腕や脚を伸ばそうとすると震えが生じる
  • 緊張すると声が震えて上手く話せない
  • 震えの症状は常に一定である

本態性振戦の特徴的とパーキンソン病との違いとは?

本態性振戦のいちばんの特徴は、振戦以外、震え以外の症状は出てこないと言う点です。字を書こうとしてペンを持つと、手が震えてうまくペンが持てない、字が書けない、声が震える、頭、首などが細かく震えると言った症状が出てきます。一般的には、動作時に出やすいのが基本です。

間違えやすい病気は?

本態性振戦と間違えられやすいのが、パーキンソン病です。パーキンソン病は脳の異常を原因として発症する病気ですが、症状のひとつには振戦が含まれています。そのため両者は間違えられやすいですが、パーキンソン病の場合は振戦以外にも様々な症状が出てくるのが、本態性振戦との大きな違いです。またパーキンソン病の振戦は、安静時に出てくると言うのも違いのひとつです。

病院に行ったほうが良いの?

震えと言う症状には、先にも述べたように特定の原因となる疾患が関係している場合もあります。自分の震えがその疾患によるものなのか、それとも本態性振戦によるものなのかについては、自己判断することは難しいです。ですからもし、震えが気になるようであれば専門医にかかるのが望ましいです。それにより、もしかしたら重篤な疾病の早期発見ができるかもしれないと言うのも、専門医にかかった方が良い理由です。

なお、症状が軽ければ、生命を脅かすものではないので治療をしなくても構いません。ただ、震えがあまりにも大きいとか、日常生活に明らかに支障が出てきている場合、また本人が震えをどうにかしたいと思っている場合には、専門医と相談したうえで治療を受けることも可能です。

本態性振戦は薬で治療できるの?

本態性振戦は治療可能な病気です。まず治療法としては薬物療法が挙げられます。効果的とされている薬剤は、交感神経の興奮を抑え、震えを抑える交感神経遮断薬(β遮断薬)です。

ただしこの薬には副作用のリスクもあり、心臓が悪い人、低血圧の人、ぜんそくがある人は服用できませんし、高齢の人も副作用が出やすいと言われています。そのほかにも、眠気やふらつき、だるさと言った副作用が出てくる可能性はあるとされています。

そのほかの薬

β遮断薬を服用できない場合や効果が見られない場合には、抗不安薬や抗てんかん薬などが処方されることがあります。
これらは振戦を根本から改善する効果は期待できませんが、本態性振戦による不安感や抑うつ状態などを改善する効果があります。しかし、効果には個人差がありますので、医師と相談しながら薬を調節していく必要があります。

手術は必要?

振戦によって日常生活に著しい障害が生じており、薬物療法を継続しても症状の改善がない場合には手術が行われることがあります。
現在行われている手術には次のようなものがあります。

脳深部刺激法

振戦を引き起こす脳の部位に電極を挿入して、外部から刺激を加えることで振戦の発症を抑制するものです。
電極とバッテリーは脳内に挿入したままの状態としますが、数年おきにバッテリーを取り換える手術を必要とします。また、脳内に異物を挿入するため、感染を起こす可能性もあります。

定位脳手術

頭を固定した状態でMRI撮影を行い、振戦の原因となる脳の部位に超音波を照射して、その部位の機能をブロックする治療法です。
体に負担がなく、バッテリー交換などで手術を繰り返す必要がありませんが、治療を行うには優れた技術が必要で限られた施設でしか行うことはできません。

おわりに:本態性振戦の重症度に応じて適宜治療を

本態性振戦は軽度であれば治療の必要はありません。ただし、日常生活に支障が出るほど重症であったり、精神的に負担を感じたりする場合は、治療薬の副作用についてもふまえたうえで、治療することをおすすめします。

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