急性ストレス反応とは ~ 事故や災害の後に発症しやすい症状 ~

2017/11/20

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

人は、大きな事故や災害で被害を受けたとき、あるいは大切な人を失ったとき、「急性ストレス反応」を起こすことがあります。今回の記事ではこの急性ストレス反応について、全般的な情報をお伝えしていきます。

急性ストレス反応とは

事故や災害に遭遇したり、肉親との死別を経験したりするなど、瞬間的に強烈なストレスを体感することで発症する症状として急性ストレス反応があります。

急性ストレス反応は、強烈なストレスを受けてから1カ月続くことがあり、人によっては数日で自然治癒をすることもあります。ただ、あくまでも急性ストレス反応は一時的なものとされており、これが長引いてしまうと心的外傷後ストレス障害(PTSD)に発展する可能性があります。

急性ストレス反応が起こりやすい状況

例えば地震などで今まで住んでいた家が全壊する、津波で家が流されるなどの経験をすると、急性ストレス反応を起こしやすくなります。また、友達や家族が殺されたり、もしくは事故で亡くなってしまったりといった、受け入れがたいショッキングな出来事も急性ストレス反応を起こす引き金となり得ます。また、その人にとって思い入れの強かったものを失ったことでも、急性ストレス反応が起きることがあります。

急性ストレス反応の症状

急性ストレス反応の症状としては、まずフラッシュバックがあります。その局面を思い出すような状況になり、トラウマとなった出来事が脳内でプレイバックされ、恐怖を感じる状態です。また、悪夢として夢に登場し、不眠になってしまうこともあります。ほかには、例えば海で何かしらの事故に遭うと、「もう海には近づきたくない」「海の話すらしたくない」と過剰な反応を示すケースも考えられ、いわゆる回避行動をとりやすくなるのも症状の1つです。

一方、過覚醒と呼ばれる、神経が常に高ぶり、それが不眠や不安につながる症状も確認されています。あまりにも強いストレスがかかることで常に興奮状態が維持され、自律神経も乱れるなど身体全体で様々な影響が出てくるようになるのです。

急性ストレス反応の治療法

急性ストレス反応は自然治癒する場合もあるものの、一方でPTSDになる恐れもあるため、慎重に経過観察をしていくことがまずは求められます。そしてその過程で、短期間の薬物治療や認知行動療法、カウンセリングなどの精神療法を行っていきます。精神療法では、どのような心の動きが見られたかをノートに書いてもらい、それで症状を判断をしていくケースが多いです。なお、最近ではEMDRと呼ばれる、トラウマとなった出来事をカウンセリングで話してもらい、それを聞いているセラピストの指の動きに合わせて眼球を動かすことで負担を軽減させるという治療法も注目されています。

おわりに:PTSDに発展する可能性もある急性ストレス反応。早めのケアを

急性ストレス反応から回復するまでにかかる期間には、個人差があります。ただし、あまりにも長期間続いているようだと、心的外傷後ストレス障害(PTSD)に発展する恐れがあるので、そうなる前にカウンセリングを受けるなどの専門治療を始めることが重要です。

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