記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/11/24
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
SND(線条体黒質変性症)とは、多系統萎縮症のひとつであり、パーキンソン病に似た症状が現れるにも関わらず、パーキンソン病の治療薬が効かないという特徴があります。では、SNDを治す方法はあるのでしょうか。この記事ではSND(線条体黒質変性症)の症状や治療、原因について解説しています。
SNDは発症すると、最初は顔のこわばりや動作が遅くなるといったパーキンソン病に似た症状が現れますが、明らかな知能の障害はみられません。その後、ふらつきや排尿障害などパーキンソン病とは別の症状も出るようになります。
SNDは抗パーキンソン病薬が効きにくい病気で、多系統委縮症と呼ばれる脊髄小脳変性症の代表的な病気です。SNDは50歳以降に発症する人がほとんどで、男女差は女性よりも男性がやや多くなります。遺伝的な要因は、必ず関係しているわけではないようですが、ごく一部で家族内で発症することがわかっており研究がすすめられています。
多系統萎縮症は、30歳以降、ほとんどは40歳以降に発症し、進行性の細胞変性脱落を起こす病気です。発病の初期の段階から小脳性運動失調の症状をあらわすものをオリーブ橋小脳萎縮症と呼び、パーキンソン病に似た症状があらわれるものをSND(線条体黒質変性症)、そして起立性低血圧など自律神経障害が目立つ症状がでているものを、シャイ・ドレーガー症候群と呼んでいます。
これらの、3つの病気は、症状が進行すると、同じような症状がでることが多く、画像診断の所見も同じようなものであることから、多系統萎縮症と総称されるようになりました。これら3つの病気は、最初にあらわれる症状に差がありますが、組織病理も共通しているということがわかっています。
上記でも少し触れましたが、SNDの代表的な症状はパーキンソン病に非常に似ています。顔がこわばり表情に変化がなくなり、筋肉が硬くなり動くときには、動作が遅くゆっくりになり、座っている状態から立ちあがるときや歩くときに転倒することが多くなります。
会話のときは話しにくさがでるようになり、ときには、手や指がふるえるという症状も起こります。
病状が進むと立ちくらみが起こるようになり、排尿時に問題が起こるようになります。自律神経症状もでるようになると便秘になりやすくなり、小脳の病変によるふらつきもみられます。パーキンソン病にそっくりでありながら、抗パーキンソン病薬を投与しても、症状が改善しないことが特徴です。
SNDには、根本的な治療法がみつかってません。
そのため、身体を動かすためのリハビリで身体の機能をなるべく長く残すようにすることが治療の目的になります。
身体の筋肉を維持するためには身体を動かすリハビリで、しゃべりにくくなることに対しては口を動かすリハビリで進行を遅らせることができるとされています。
また、日常生活の制限を少なくするために、症状を抑えるための薬物療法も重要です。
症状の悪化を遅らせるために、医師の指導のもと生活の中で工夫するように努める必要もあるでしょう。
SNDはパーキンソン病に似た症状は出ますが、パーキンソン病治療薬では治療効果が得られにくいことが特徴であり、根本治療の方法も見つかっていません。そのため、リハビリと薬物療法を組み合わせて症状の進行を抑えることが治療の中心になります。医師と相談しながら、症状を遅らせる工夫を日常生活の中にも取り入れるように努めましょう。