筋萎縮性側索硬化症(ALS)治療中の食事のポイント

2017/11/27

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

筋萎縮性側索硬化症は、運動ニューロンに何らかの障害が起こり、自分の意思で筋肉が動かしにくくなってしまう病気です。筋萎縮性側索硬化症になると栄養障害になりやすいといわれていますが、この原因はどこにあるのでしょうか?この記事では、筋萎縮性側索硬化症の食事のポイントを紹介していきます。

筋萎縮性側索硬化症(ALS)について

筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、運動ニューロンに障害が起こることで身体が動かせなくなる難病です。通常身体を動かすときは、脳や神経からの指令が筋肉に伝わって身体を思ったように動かすことができるのですが、この指令を伝える働きをしているのが運動ニューロンです。

症状には、最初に手や足に出る種類と、口や舌に出る種類があります。
手や足に症状がでる場合では、ものがうまくつかめなくなったり、歩こうと思っても足が前に出にくくなったりします。また、走れない、立ち上がれない、疲れやすい、手足の腫れといった症状が現れ、手足の筋肉が思うように使えないので手足の筋肉が落ちて痩せ細ったようになります。
症状が口や舌に強く出る場合には、口が思うように動かせないので、いつもどおりに食事をとることが難しくなります。舌が円滑に動かないため、じゃべりにくく言葉をはっきりと言うことができなくなります。

筋萎縮性側索硬化症(ALS)で問題となる「栄養障害」とは?

筋萎縮性側索硬化症で喉の筋力が委縮すると、食べ物を飲み込む力が弱くなり、上手く飲み込むことができなくなります。食事をしていても、うまく飲み込めず、むせたりすることが増えるので、自然と食べる量が減ったり、食べられるものが同じようなものばかりになってしまいます。その結果、摂取している栄養に偏りがでて、必要な栄養素が十分にとれないという状態が長く続いてしまうのです。

筋萎縮性側索硬化症は症状が改善するということがほとんどないので、喉の筋肉の委縮が始まり食事がとりにくくなると栄養不足の状態が長く続いてしまう危険が大きくなります。そうならないためには、食事のときに工夫することが大切です。

治療中の食事のポイント

食べ物が飲み込みにくくなっているときは、身体をしっかりと起こして食べ物を飲み込むほうが、重力の力で食べ物が入っていきやすくなり、食べ物が気管に入ってむせてしまうことを防げます。ベッド上で寝ている場合には30度ほどベッドの上半身部分を上げて食事を摂るようにしましょう。苦しくなければ、頭の下に枕などを入れて、少しうなづくような頭の位置にして、あごを引いた姿勢にすると、気管に入りにくく食べやすくなります。
一度に口に入れる量が多すぎることも食べにくさを増してしまうので、できるだけ少量ずつ口に入れるようにします。口にスプーンを入れるときには、介助者が口に中に食物を入れるよりも、本人がスプーンから吸い込むようにするほうが、汁物などでもむせにくくなります。
また、スプーンは持ち手の部分を太くすると、筋萎縮性側索硬化症の方でも握りやすくなるのでおすすめです。その他、食事の形状は柔らかくしたほうが食べやすく、汁っぽいものよりもどろどろの状態のほうが飲み込みやすくるので、食事を作るときの参考にしてください。

おわりに:食事のときに食べやすくなるように工夫することがALSの栄養障害を防ぐコツ

筋萎縮性側索硬化症を発症すると、飲み込むための筋肉が弱ってしまうので食事が苦痛になり食事量が減ってしまったりメニューが偏ってしまいがちです。これは栄養障害にもつながるので危険です。食事のときは、できるかぎり食べやすく、少しでも食事が楽しめるように工夫するようにしましょう。

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