過眠症にはどんな種類があるの?治療方法は?

2017/11/20 記事改定日: 2019/5/7
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

過眠症とは、夜間に睡眠を十分とっているはずなのに昼間に我慢できないほどの眠気に襲われてしまう病気です。大きく分けると、ナルコレプシー、特発性過眠症、反復性過眠症の3つに分けられます。この記事では、過眠症の基礎知識を解説していきます。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

過眠症の種類

過眠症とは、きちんと夜眠っているのに昼間に強い眠気が起こってしまい、学業や仕事に支障をきたす病気です。
眠気を我慢しても、集中力の低下から学校や仕事でミスが増え、気持ちがたるんでいるから眠いなどと決め付けられてしまうケースが多く、過眠症を疑って病院に相談する人は少ないため治療が遅れる傾向があります。

夜7時間以上は寝ているのに、耐え難い眠気を感じるならば精神科や睡眠外来を受診することをおすすめします。過眠症にはナルコレプシーと特発性過眠症、反復性過眠症の3つのタイプに分けられ、それぞれ治療法が異なります。

ナルコレプシー

ナルコレプシーは昼間に強烈な眠気に襲われる病気です。30分くらいの短い睡眠を繰り返すのが特徴で、授業中や会議中など寝てはいけないと意識していても突然眠ってしまいます。
目が覚めるたときはスッキリしていますがその後も強い眠気に襲われ、笑ったり泣いたり感情がたかぶると脱力することもあります。

特発性過眠症

特発性過眠症は、夜ぐっすり眠っても昼間に1時間~4時間も寝てしまう病気です。長時間眠っても頭がスッキリせず、目覚めた後は不明瞭な思考状態で自分がどこにいるか見当がつかないといった状況になってしまうことが特徴です。

特発性過眠症は原因が分かっていないので効果的な治療法が確立されていません。10万人に1人という発症率の低さも研究が遅れている原因といえるでしょう。

反復性過眠症

反復性過眠症は1日に20時間くらい眠ってしまう過眠症です。食事やトイレなど必要最低限の時以外は3日~10日眠り続けてしまいます。その期間が過ぎると睡眠時間が通常に戻り、再び過眠になります。過眠の状態により、長時間寝ている期間を傾眠期、睡眠時間が正常になる期間を間欠期と区分されています。

原因は不明ですがストレスや睡眠不足が関係しているとされ、発症率は非常に低いです。

過眠症の治療法

過眠症の治療方法は、そのタイプによって大きく異なります。主なタイプの過眠症の治療法は以下の通りです。

ナルコレプシー

ナルコレプシーには薬物治療が効果的です。主に使用されるものは、脳を刺激して日中の過度な眠気を抑えるメチルフェニデートやモダフィニルなどの「中枢神経刺激薬」、レム睡眠抑制作用のある抗うつ薬、夜間の睡眠を適正に維持する睡眠薬などが挙げられます。

どの種類の薬物が有効かは人によって異なりますので、様々な薬剤を試しながら自身に合ったものが選択されていきます。
また、規則正しい睡眠習慣を身に付けるために生活指導やカウンセリングなどが行われることもあります。

特発性過眠症

特発性過眠症は確立した治療方法がありませんが、日中の過度な眠気に対しては脳を刺激する中枢神経刺激薬が使用されます。また、睡眠時間を十分に確保することが必要であるため、生活習慣を整えることも治療の第一歩と言えるでしょう。

反復性過眠症

反復性過眠症もまた確立した治療方法がなく、他の過眠症で使用される中枢神経刺激薬の効果はまちまちであり、人格変化や不安感などの副作用が現れることも少なくありません。一方、約半数は炭酸リチウムによって過度な眠気を軽減できるとされています。
これらの薬物治療に効果がない場合には、過眠期は無理をせずに休養することも一つの方法と考えられており、学校や職場などの協力が必要となります。

おわりに:不眠、過眠に限らず、セルフケアで改善しない睡眠の悩みは早めに専門医に相談しよう

過眠症は仕事や学業に支障をきたしやすく、周囲の理解も得にくい病気です。完治が難しい病気ではありますが、適切な治療で日常生活が問題なく送れるレベルまで改善できるケースも多いといわれています。不眠症、過眠症に限らず、セルフケアで改善できない睡眠の悩みは、なるべく早めに医師に相談するようにしましょう。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

非定型うつ病(7) ナルコレプシー(13) 過眠症(9) 特発性過眠症(3) 反復性過眠症(3) 体内リズム(3)