糖尿病の三大合併症のひとつ、「糖尿病網膜症」とは

2017/11/29

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

糖尿病の三大合併症のひとつとして知られる「糖尿病網膜症」。この糖尿病網膜症は、発症するとどんな症状が現れるのでしょうか?原因や治療法と併せて解説していきます。

糖尿病網膜症とは

糖尿病網膜症は糖尿病の三大合併症のひとつで、糖尿病によって網膜がもろくなったために、急速に視力が低下する症状のことです。

網膜は無数の血管と結びついている組織であり、目の中に入ってきた光を脳の視神経へ伝達する役割を担っています。網膜は、この血管と結びつくことによって常に代謝が行われ、新しい細胞に作り替えられることで機能できていますが、糖尿病になって血管の壊死が始まると、網膜の代謝が徐々に行われなくなり、新しく作り替えられなくなります。すると光の刺激に耐え切れなくなり、徐々に視力低下につながってしまうのです。

糖尿病網膜症を発症すると、どんな症状が現れるのか

糖尿病網膜症は、主に3つの段階を経て進行します。

最初の段階では、ほとんど自覚症状はありません。しかし専用の顕微鏡で目を観察すると、目の周辺の血管が正常に機能しておらず、出血しているのがわかります。

第2段階に入ると、網膜がうまく働かなくなるので光の吸収がうまくいかなくなり、徐々に目のかすみが表れ始めます。

そして第3段階に入ると、目の網膜の血管が壊死し始めているため、網膜が徐々にはがれやすくなります。この状態になると、眼球を動かしただけでも強い痛みが走り、最悪のケースとして飛蚊症や網膜剥離、緑内障を発症し、最後には失明に至ることがあります。

なぜ糖尿病網膜症を発症するのか

糖尿病では食事で摂取した糖を細胞が吸収できず、徐々に血管に蓄積していく病気です。この蓄積した糖が結晶化して大きくなる際、血流の流れに乗って血管に当たるので、糖尿病網膜症の第1段階である、血管からの出血が起こります。

第2段階になると、大きくなった結晶が完全に血管をふさいでしまうため、目は新しい血管を生み出すのですが、もともと存在する血管と違い応急処置で生まれた血管はとてももろいです。よってこの血管はちょっとしたことで破れてしまうだけでなく、血管に糖が入り込むことでより破れが広がってしまいます。それが最終的に第3段階である視力低下や重度の眼病を起こすことになります。

糖尿病網膜症の治療法

糖尿病網膜症は一度発症すると、完治させる治療法がないのが現状です。そのため眼科で糖尿病網膜症を診断されたら、その段階にあった治療法を行うことになります。

第1段階では、自覚症状がないため生活に支障がないですが、インスリン注射を含めて糖質コントロールで進行を食い止めます。そして第2~3段階に入ったら、失明を防ぐための治療を施します。具体的には、2段階目のもろい血管を作り出さないために、そのもろい血管を焼き切るレーザー治療を行います。第3段階に入り網膜が剥がれ始めているようであれば、レーザーで血管を焼き切りつつ目の中に吸引カッターを入れ、出血を取り除いた後に剥がれた眼球を元に戻します。

ただ、いずれの治療法もあくまで進行を止めるためのもので、何度も再発することがあります。そのため完全な失明を防ぐためにも、治療後も定期的に眼科を受診することが大切です。

おわりに:糖尿病網膜症によって失明につながることも

糖尿病網膜症は目のかすみや視力低下だけでなく、最終的には失明につながる可能性のある合併症です。定期的な眼科検診を受け、早期の段階で発見できるよう努めましょう。

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