海外旅行に行くときは要注意! トラコーマってどんな病気?

2017/11/10

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

トラコーマはクラミジア・トラコマチスが原因になる感染症です。汚染された水やハエなどを媒介して感染するため、衛生環境が整った日本での発症はないとされていますが、海外ではまだ流行している地域もあります。トラコーマの基礎知識を紹介していくので、感染予防やいざというときに役立てましょう。

トラコーマってどんな病気?何が原因なの?


トラコーマとは、クラミジア・トラコマチスという微生物に感染することで発症する結膜炎のことです。汚染された水やハエなどを介しての感染が主な原因になります。

そのため、衛生環境が良い日本では発症の心配はないとされていますが、北アフリカ、インド、オーストラリア、東南アジアなどの発展途上国ではいまだに多い病気のため、これらの地域に海外旅行に行く際は、感染しないように最大限の注意を払う必要があるでしょう。

そして、トラコーマは、免疫が弱く衛生面にもあまり気を配らない小さい子供に感染しやすいといわれています。年齢が上がり抵抗力が強くなると感染リスクは減りますが、治療をせずに放っておくと失明する危険がある危険な病気です。手遅れにならないようにするためにも、眼に異常を感じたらすぐに病院を受診しましょう。

トラコーマの感染ルートは?

トラコーマは感染しても免疫力が高ければ発症せずに済みますが、免疫力が弱い子供などが感染すると発症する可能性が高まります。

感染する主なルートとしては、感染者の目や鼻を拭いたタオルやハンカチ、目元用の化粧品を共用する事などです。その他にも、感染者の目や鼻の粘膜にとまったハエが、他の人の目にとまることでも感染します。

さらに、妊娠中の女性が感染してしまった場合、出産のときに産道を介して感染してしまうリスクがあるため、新生児が病気をもったまま生まれてくることになります。このケースでは、生後1、2週間で発症することが多いです。

トラコーマに感染するとどんな症状が現れる?

トラコーマの症状は、主に4つの段階に分けられます。

まず、病原体が目の結膜上皮細胞に感染すると、感染からおよそ1週間から2週間の潜伏期間を経て、結膜が炎症で赤くなる、まぶたの腫れ、光に敏感になるなどの第一段階の症状が現れます。その後、治療せずに放置すると、第二段階の症状として上まぶたの裏に小さい卵胞ができます。
この状態でも治療しないと、3ヶ月から3年の期間を経て、瞼の裏の卵胞がどんどん大きくなります。そして、角膜の血管が発達し黒目を横切るようになると血管に覆われることで、目が見えにくくなります。
第四段階になると、まつ毛が内側を向き、常に角膜を傷つける状態となります。その結果、最終的に失明してしまいます。

トラコーマを発症した場合に治療法は?

トラコーマの主な治療方法は、テトラサイクリンなどの抗菌薬を服用することです。
初期の場合、抗生物質の内服だけで治癒することが可能ですが、症状が進んでいる場合は同時に抗菌薬含有の眼軟膏で治療することもあります。

また、トラコーマがすごく進行してしまい、まぶたの変形が見られる場合、薬物療法だけでは失明を免れません。内側に入り込んだまつ毛を元通りにするための手術が必要です。

おわりに:日本で感染することはないが、海外旅行のときには注意

トラコーマは、現在衛生環境が整っている日本で発症することはないといわれています。しかし、海外には未だ多くの流行地域があるため、注意が必要です。海外旅行後に目に異常を感じたときは、早めに病院で検査してもらいましょう。

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