記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/11/14 記事改定日: 2019/5/7
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
神経性胃炎の症状に、大きく関わっているのがストレスと自律神経の関係です。なにかとストレスを感じやすい現代社会において、神経性胃炎はストレスを由来とする現代病とも言えます。この記事では、その神経性胃炎の症状や発症の原因、治療方法についてご紹介します。
神経性胃炎とは、仕事などでの過労や精神的なストレスが原因となり、自律神経がバランスを崩すことで起こる胃炎です。ストレスを受け自律神経がバランスを崩してしまうと、胃酸の分泌が過剰になり、胃の痛みや喉のつかえ、胸やけ、気分がふさぐなどの症状を引き起こします。
胃の痛みの症状があったので検査をしてみたけれど、特別な異常が見つからないものを神経性胃炎といいます。そのため「胃炎」という言い方ではなく、「機能性ディスペプシア」または「機能性胃腸障害」という病名で呼ばれることもあります。身体に現れる主な症状は、以下のものです。
これらの症状を緩和させるために胃薬を飲んでも効果が得られない場合は、神経性胃炎の可能性が考えられます。過剰に分泌された胃酸の影響で、胃潰瘍の発症や胃の働きの鈍化、消化不良を引き起こしてしまうこともあります。
また、情緒面に支障がでてくるのも、自律神経のバランス調整がうまくできていないことが原因です。身体がだるい、何もやる気が起こらない、強い不安に襲われるなど「うつ症状」を発症し深刻化してしまうこともあるので注意が必要です。
神経性胃炎の主な原因の多くは、仕事でのストレスや過労など日常で感じているストレスと考えられています。これは、ストレスを発散しようと暴飲暴食をしたり、アルコールを過剰に摂取したりすることで胃に負担をかけることも含まれるでしょう。
また、胃酸が過剰に分泌されることで身体の不調を感じると、その症状そのものがストレスになってしまい、さらに悪循環に陥ってしまいます。胃の調子がおかしい、なんだか気分が落ち込むといった症状が続く場合は、「まだ大丈夫」と自分をごまかさず身体が訴えているSOSときちんと向き合いましょう。
神経性胃炎の治療には主に内服薬を用い、それぞれの症状に適応した効能の異なる薬があります。
服用された胃腸薬の効果があまりないという方は、漢方薬による治療もあります。その場合は、医師や薬剤師に相談のもと処方してもらいましょう。市販の薬でも、対症療法としてOTC医薬品(一般用医薬品等)が利用できます。ただし、自分の症状にはどの薬を買えばいいかについては、薬剤師にきちんと相談するようにしましょう。
そして、神経性胃炎の治療で最も肝心なのは、症状の原因となっているストレスに対してどのように対処するかです。何が原因なのかはっきりしている場合は、そのストレスの原因を取り除くように努めてください。
自分で対処することが難しい場合は、1人で悩まずに専門家に相談してみましょう。かかりつけ医や精神科医に相談したり、臨床心理士のカウンセリングを受けてみることもおすすめです。
神経性胃炎は、上記のような作用のある薬が使用されます。
胃の働きを助ける効果のある薬としては新セルベール®︎整胃や第一三共胃腸薬®、胃酸の分泌を抑えたり中和させる効果のある薬としてはガスター®︎10やガストール®︎錠、胃の粘膜を保護する作用のある薬としてはイノセアバランス®やアバロン®などが挙げられます。
また、総合的に胃腸を整えるものとしては太田胃散®や新キャスコリンS®などが挙げられ、六君子湯や甘草瀉心湯などの漢方も有用なことがあります。
しかし、これらの薬は一時的に胃痛を和らげる効果があるものの根本的に神経性胃炎を治すものではありません。神経性胃炎の根本的な治療には原因となるストレスやうつなどの改善をする必要があり、自己判断で漫然と市販薬の服用を続けていると胃炎が悪化して胃潰瘍などに進行するケースもありますので、症状が長引く場合は病院で治療を受けるようにしましょう。
神経性胃炎は、乱れてしまった自律神経のバランスを整えれば改善することができます。疲れを感じるなと思ったり、なんだか気分が落ち込むと感じたりした時は、無理をせず休養を取るようにしましょう。身体は体調の変化で心身のSOSを伝えてくれています。どうも身体の調子がおかしいなと感じる「SOSの合図」を見逃さないように気をつけてくださいね。