記事監修医師
日本赤十字社医療センター、歯科・口腔外科
川俣 綾 先生
2018/1/30 記事改定日: 2018/3/16
記事改定回数:1回
記事監修医師
日本赤十字社医療センター、歯科・口腔外科
川俣 綾 先生
頭痛と歯痛が同時に起こった場合、何が原因と考えられるでしょうか?頭痛と歯痛を引き起こす可能性のある疾患やそれぞれの特徴、おすすめの薬や対処法などを広く紹介していきます。
歯痛と頭痛が同時に起こるとき、どちらかの症状が先行して、もうひとつの症状を誘発している可能性があります。そのため、まずは歯痛による頭痛なのか、頭痛による歯痛なのか原因を究明することが必要です。
考えられる原因としては、「虫歯」などが原因で歯に痛みが起こり、歯の奥の神経が刺激され、鼻の奥の深部にまで痛みが広がり、頭痛を作り出している可能性があります。これは虫歯だけに限ったことではありません。親知らずやその他の歯の神経の不具合が原因で痛みを誘発することもあるのです。
歯痛に関連していると言われるのが「群発頭痛」です。群発頭痛は、目の後ろを通る血管が拡張することで視床下部や三叉神経が炎症を引き起こし、上あごにも痛みが響いて歯痛を招くようになります。群発頭痛は、断続的に毎日続く、目の奥をえぐられるようなとても強い痛みが特徴で、鼻づまりや鼻水を伴うことが多いです。
また、「副鼻腔炎」が悪化することで歯痛と頭痛が引き起こされる可能性もあります。副鼻腔炎は、鼻の奥にある空洞(副鼻腔)に膿がたまり、炎症を起こしている状態で、症状としては頬の痛みや上の奥歯の激痛、目の奥が重くズキズキ痛むような頭痛が特徴です。
歯痛と頭痛を同時に緩和したい場合は、ロキソプロフェンやイブプロフェン、アセトアミノフェンが入っている鎮痛薬を選ぶのがおすすめです。具体的な市販薬としては、ロキソニンS®やイブA錠EX®、タイレノール®、ハイタミン®などが挙げられます。
特に歯科でよく処方されるロキソニン®は、鎮痛作用だけでなく消炎作用もあるため、頭痛と歯痛を同時に緩和する効果が期待できます。
基本的に、鎮痛薬は服薬してから効果が発揮されるまでに30分〜1時間ほどかかります。頭痛や歯痛が強いからといって、規定用量より多く服薬するのはやめてください。胃が荒れたりといった別の症状を引き起こす恐れがあります。また、多く服薬したからといってその分効果が増すわけではないので、患部を冷やすなど他の方法と組み合わせながら痛みに対処することが大切です。
なお、歯痛と頭痛が辛い場合は「合谷(ごうこく:手の甲の、親指と人差し指の付け根周辺のツボ)」を押したり、温めたりするのも効果的と言われています。
頭痛と歯痛を緩和する対処法は、原因によって少しずつ異なります。以降で原因別に対処法を紹介していきます。
虫歯によって歯痛を招いている場合には、虫歯の治療をまずは行うことが第一優先です。病院の開いていない時間の痛みについては、応急処置として、先ほどご紹介した鎮痛剤の服用で一時的に痛みを抑えてください。また、氷枕や濡れたタオルなどで痛みのある患部を頬から冷やすと、血液の循環を抑えられるため、歯痛の緩和につながります。
群発頭痛は、目の奥の血管が拡張することで痛みを生じるため、痛みを感じる患部を冷やして血液の循環を抑えます。また、お酒やお風呂などは血流がよくなり痛みを誘発させるため、避けるようにしてください。群発頭痛の場合は、病院での酸素吸入治療で痛みを和らげることができるので、医師に相談しましょう。
副鼻腔炎は副鼻腔が炎症を起こしているため、解熱鎮痛剤を用いて痛みを和らげます。そして抗菌薬を投与し、細菌を死滅させ治療していきます。膿が消えて神経を圧迫していた副鼻腔が元通りになると、副鼻腔炎が原因の歯痛は徐々に和らいでいきます。
歯痛と頭痛が同時に起こる場合は、まず原因となる疾患を特定することが大切です。原因疾患によって対処方法も異なるので、痛みを感じたら早めに病院に行き原因を究明しましょう。