記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/11/6
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
ドアのカギがかかっているかを何度も確認したり、手を何度も洗ったりなど、ある特定のことについての異常なまでの不安を感じる強迫性障害。どのようなきっかけで強迫性障害になったのか、対処法はあるのかなど詳しく見ていきましょう。
強迫性障害とは、物事に対して不安症状が現れる病気です。一つの事柄にとらわれてしまい何度も確認をする、汚いということに対しての恐怖があり何度も手を洗ってしまうなどの行為は強迫性障害の症状と考えられます。強迫性障害には、「強迫観念」と「強迫行為」の二つの症状があります。
強迫性障害は、主に脳内の神経伝達物質に障害が現れることと、脳の機能障害が原因で発生すると考えられています。
神経伝達物質とは、脳の中に存在している物質のことです。神経伝達物質にはいくつかの種類があり、その中で「セロトニン」という物質が強迫性障害に関わっています。セロトニンは体と心の両方に働く物質で、体では睡眠や体温調節、呼吸や歩行の動き、消化管の働きをする神経に働きかけます。また、心のバランスをとるのもセロトニンの役割です。この様々な動きを伝達する神経に含まれるセロトニンが、何らかの原因で異常をきたすことにより、同じようなことにひどくとらわれてしまう症状が現れると考えられています。
強迫性障害の理由は、以前までは遺伝、環境の変化、ストレスが主な原因とされていました。ただ、近年はこの分野の研究が進んだことによって前述した脳内の神経伝達物質や、脳の発達も原因の一つであることが判明しています。脳が体に間違った伝達をしているために、危険のないところでも危険を感じたり、不安を感じたりすると考えられています。
強迫性障害は前触れもなく発症する患者さんが多いです。ただし、その背景にはストレスを感じる出来事があったと考えられています。女性の場合は、結婚や妊娠と出産、子育て中など、人生の節目に発症することが多いです。人生の節目というのは幸せな気持ちが心の大半を占めていますが、その反面大きなストレスを感じている場合もあります。ただし、そのストレスに気付くことができないと、いつの間にか強迫性障害を発症しているという場合もあります。
なお、若いうちに強迫性障害を発症した人のきっかけは、進学や受験などです。こうした、人生の節目に強迫性障害にかかった人がいる反面、きっかけが分からない人も少なくありません。
強迫性障害の疑いがあるときには、まず医師に相談し診断を仰ぐことが重要です。特に、自分の行為によって日常生活に支障が出ていると感じたら、早めに病院に行きましょう。
強迫性障害の治療は薬の服用だけではなく、強迫的な観念や行為を自分の中から取り去ることも行います。治療初期では不安が増幅することも考えられますが、医師と共に適切な治療を受けることで回復も期待できる病気です。なお、相談の際は心療内科、または精神科などの専門の科を受診してください。
強迫性障害は誰もがかかりうる病気です。普段の生活で何気なくしている動作に対して不安に思ったり、こだわりが強かったりしたら、強迫性障害を発症しているサインかも知れません。その場合はすぐに医師の診断を受けましょう。