ランナー膝(腸脛靭帯炎)の原因と治療方法とは

2017/11/6

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

ランナー膝とは腸脛靭帯炎とも呼ばれるスポーツ障害であり、膝の痛みなどの症状が現れます。ランニングをしている以外にも、格闘技やバスケットボールの選手など、さまざまなスポーツ選手に起こる可能性がある障害です。この記事ではランナー膝の原因や症状、治療法について解説しています。

ランナー膝(腸脛靭帯炎)の症状

腸脛靭帯炎は、ランニングによる膝障害の代表疾患です。膝の屈伸運動を繰り返すことによって腸脛靱帯が大腿骨外顆(がいか)とこすれて炎症(滑膜炎)を起こし、痛みが起こります。

具体的な症状として、膝関節外側の圧痛、階段を降りるときの痛み、ランニング時に足が地面に接地して体重がかかった時の痛みなどが挙げられ、熱感や腫れを伴うこともあります。別名「ランナーズニ―」のとおりマラソン・ランナーに多く見られますが、バスケットボール、水泳、エアロビクスなどの選手にも発生します。

主な発症理由はオーバーユースですが、走行距離や時間に加え、筋力、フォーム、柔軟性、靴、O脚など、さまざまな要因が絡み合うことで引き起こされるのです。

腸脛靭帯炎の原因

腸脛靭帯は太ももの外側をおおう長い靭帯です。大転子という脚のつけ根の骨から、太ももの外側をとおり脛骨(膝下の骨)までつながっていて、膝の外側の安定を保つ役割を果たしています。

ランニングや自転車などで膝の屈伸をくり返すことによって、腸脛靭帯が大腿外側上顆という骨の外側のでっぱり部分をくり返し移動するため摩擦が激しくなり、腸脛靭帯に局所的な炎症が起き、膝の外側に痛みが発生します。

上述したとおり、腸脛靭帯炎の主な原因は「使いすぎ」です。しかし、走る時間が増えたり、走るスピードが速くなった場合など下肢への負担が増えることや、疲労の蓄積やランニングフォームなど技術的な問題が重なって発症することも多く、オーバーユースだけが原因とは言いきれません。また、内反膝、回内足といった体型的要因や不十分なストレッチなども腸脛靭帯炎の原因になることがあります。

腸脛靭帯炎の検査と治療

問診や触診で症状を確認して診断します。
代表的な検査方法として、グラスピングテストが挙げられます。これは膝を90度曲げ、靭帯の部分を外から押さえながら膝を伸ばしていくときの痛みを確認する検査です。

膝を使う運動を中止し、安静を保つことが治療の基本です。症状が軽度であれば、しばらく休養することで痛みは解消します。痛みが強い場合は、炎症を抑えるためアイシングや、湿布や軟膏タイプの消炎鎮痛薬の塗布、消炎鎮痛剤の内服などが有効と考えられています。

その他、温熱療法や電気・超音波・レーザー療法なども含めた保存的治療でも症状が改善されない場合は、ステロイド注射や腸脛靭帯を一部切り取る手術が検討されますが、手術が行われるのは稀です。

予防するために

膝を酷使する過剰な運動は避け、疲労が溜まったら十分な休養を取るようにしましょう。運動前のウォームアップと、運動後のクールダウンはしっかりと行い、普段から筋力トレーニングと柔軟体操を習慣的に行って、膝に関係する筋肉の強化と柔軟性アップを図ることが予防や再発防止に役立ちます。

腸脛靱帯炎はオーバーユース症候群ですが、体力的、技術的、環境面など原因は多岐にわたるため、これらを総合的に考慮したトレーニングプログラムを考える必要がるため、硬い路面や坂道を避ける、シューズを見直すといった工夫も重要です。

また理想的なランニングフォームの追究で、身体への負担を軽減させて走ることができます。フォームや環境を併せて考慮して予防、再発防止に努めるようにしましょう。

おわりに:痛みが出たときは症状が軽いうちに休息をとろう!ただし、その後のトレーニングも忘れずに

症状が軽度のうちに十分安静をとることで、回復に向かうことが多いとされます。ただし、重要なのはその後のトレーニングです。医師や専門家に相談しながら、綿密なトレーニング計画をたて、再発防止につなげていきましょう。

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