リンパ管腫とは ~ 赤ちゃんの首やわきの下にこぶができる病気 ~

2017/11/20

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

赤ちゃんの首や脇の下にこぶのようなものができていたら、もしかしたら「リンパ管腫」かもしれません。今回の記事ではそのリンパ管腫について、具体的な症状や治療法を解説していきます。

リンパ管腫(リンパ管奇形)とは

 

リンパ管腫とはリンパ管奇形とも呼ばれるもので、リンパ管が拡張することによってその部分にリンパ液が溜まってしまう病気のことをいいます。それにより皮膚の下にしこりができたり、皮膚の表面に水泡状の発疹ができたりします。主に子供に発症する疾患で、胎生期にリンパ管が発生する際、分化異常を起こすことで引き起こされると考えられています。しかし、どういった原因で発症するのかは、明らかになっていません。

リンパ管腫は先天性の疾患で、1000~5000人に1人の割合で発症すると言われています。生まれつき症状がある場合が多く、また生まれた時にはなくても生後早い段階で症状が現れるのが特徴です。

なお、リンパ管腫には顔や脇の下、首といった体表に存在するものと心臓や肺の近くなど体の深部に存在しているものがあります。体表に存在する病変は浅在性リンパ管腫と呼ばれており、深部に存在する病変は、深在性リンパ管腫と呼ばれています。

リンパ管腫の症状

リンパ管腫ができると病変の部分は膨らんで見えますが、これは嚢胞と呼ばれるものです。嚢胞は1mm以下の小さいものもありますし、数cmに達するような大きなものもあります。病変全体の大きさも人によって異なり、数cm程度のものもありますし、数十cmになるものもあります。

リンパ管腫は自然に消滅することもありますが、反対に病変が大きくなっていく場合もあります。また、リンパ管腫は脇の下や首にできることが多くありますが、全身にできる可能性もあり、場所によっては気道を圧迫して呼吸困難を招いたり、喉が潰れて飲み込むことを困難にする場合もあります。腹腔内にできた場合には、嘔吐や排便障害などを招くこともあります。

ただし、リンパ管腫は悪性腫瘍ではないので、体の他の部分に転移することはありません。また多くの場合痛みもありませんが、出血を起こして赤く腫れたり、細菌感染を起こして腫れたりすると、痛む場合もあります。

リンパ管腫の治療法

リンパ管腫の治療法には、手術によって病変を切除する方法と薬剤を病変に注入する硬化療法があります。

まず手術では、リンパ液を含んだ嚢胞を全て取り除きます。そうすることで完治しますし、治療は短期間で完了します。ただし、手術の傷跡は残ってしまいます。また、完全に取り除くためには、周りの組織を犠牲にしなければいけないような場合もあります。

一方の硬化療法は、薬剤を病変に注入することで病変が小さくする治療法です。薬剤を注入してから数か月くらいで、病変は縮小するとされています。なお、薬剤には色々な種類がありますが、抗がん剤を使用する場合もあります。ただし、病変の種類によっては効果がない場合もあります。

リンパ管腫は病変の大きさも出来る部位も様々なので、一人一人の状態にあった治療法が選択されます。また、自然消滅することも多いので、危険が伴わない場合には経過観察することもあります。そのため、どの段階で治療を行うのが最良かを見極めることが重要です。

おわりに:リンパ管腫の危険性は発生部位などによってさまざま。まずは病院へ

リンパ管腫は、自然に消滅するものもあれば巨大化するものもあり、またできる部位によって危険性も異なります。リンパ管腫の可能性のあるものを発見したら、まずは病院を受診するところから始めましょう。

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