口唇口蓋裂とは ~ 原因・症状・治療法について ~

2017/11/17

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

日本人の赤ちゃんに比較的多いといわれる先天性異常のひとつに、「口唇口蓋裂」があります。今回の記事では、口唇口蓋裂の具体的な特徴や原因、治療法についてご紹介します。

口唇口蓋裂とは

口唇口蓋裂とは、赤ちゃんの唇や上あごの口蓋に裂け目があり、口や歯茎が裂けた状態で生まれてくる先天的な形態異常のひとつです。唇に裂け目の残ったものを「口唇裂」、口蓋が裂けて口の中と鼻の中が繋がっている状態を「口蓋裂」といいます。口唇裂と口蓋裂は同時に起きることもしばしばあり、総称して口唇口蓋裂と呼びます。日本人に比較的多くみられ、400~600人に1人の割合で発生しています。

口唇口蓋裂は、母親のお腹の中で赤ちゃんの顔が形作られる過程で生じます。通常、赤ちゃんの唇やあごは、顔の左右から中心に向かって少しずつ形作られますが、そのとき何らかの原因で左右が上手くつながらないことによって、唇や口蓋の骨の一部に裂け目が生じたままになってしまうのです。

口唇口蓋裂の原因

口唇口蓋裂の原因は多くの場合明らかになっておらず、全体の7割ほどは原因不明とされています。ただ、口唇口蓋裂は、お腹の中で赤ちゃんの顔が形成される妊娠4~12週のときに発生するといわれています。考えられる原因としては、その時期に胎児に異常な力が加わることや、母体の栄養障害やストレスの影響などが挙げられています。また、鎮痛薬や副腎皮質ステロイド薬の服用、風疹の罹患、放射線照射も原因のひとつとして挙げられています。遺伝的要素や染色体異常も要因のひとつと考えられています。

口唇口蓋裂の症状

口蓋口唇裂の赤ちゃんは、母乳を飲む、食べ物を食べる、言葉の発音をする、といったことがうまくできません。

まず、唇や口蓋に隙間があると、母乳やミルクを吸う力が弱くなり、上手に飲むことができなくなります。そのため、特殊な器具を口に付けて母乳を飲ませたり、専用の哺乳瓶でミルクを飲ませることが必要になり、器具の取り付けをどうしても嫌がる赤ちゃんには、注入を行うこともあります。

また、口蓋裂の場合は鼻と口がつながっているために、口から摂取した母乳やミルク、食べ物などが鼻の中に入りやすくなります。すると鼻腔の中が汚れ、扁桃炎や中耳炎、気管支炎を起こすリスクが高くなります。

また、成長に応じて言葉の発音を行う際に、上手く発音しにくいという影響も生じます。また、歯が正常に生えてこなかったり、歯並びに影響がある場合も多いです。

口唇口蓋裂の治療

口唇口蓋裂があった場合は、赤ちゃんの頃から継続的な治療を行うことが必要になります。口唇口蓋裂の治療は健康保険の適用対象であるため、保険範囲内で治療ができます。

まず口唇裂の場合は、段階的に手術を施して唇をつなげる治療を行います。はじめはテーピングを行い、赤ちゃんが手術の負担に耐えられる力がつく生後3~4か月頃に最初の形成手術を行います。その後、必要があれば5歳頃に外見を整える手術が施されます。

口蓋裂の場合は、1歳半から2歳頃に口蓋を形成する手術を行います。手術後は、言葉の正しい発音のために言語療法を行います。手術後も口蓋に隙間が残る時期もあるため、必要に応じてスピーチエイドという発声のための補助器具を使用します。

おわりに:口唇口蓋裂は治療可能な症状。成長段階に合わせた継続的な治療を!

口唇口蓋裂は見た目だけでなく、食事や発声など、生活に必要な身体機能にも影響を及ぼす症状です。ただ、成長段階に合わせた適切な治療をすることで、ほぼ正常な状態にまで回復させることができるので、継続的な治療を続けていきましょう。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

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