腟炎の原因、カンジダとクラミジアの特徴の違いと予防法とは!?

2018/2/21 記事改定日: 2018/8/14
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

腟が何らかの炎症を起こしてしまった状態を腟炎といいます。腟炎の原因にはさまざまなものがあり、症状もおりものの量や状態がいつもと違う、痒みや痛みがあるなどさまざまです。
ここでは、腟炎を起こす代表的な原因である、腟カンジダと性器クラミジアなどについて、詳しく説明していきます。

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腟炎の原因:腟カンジダと性器クラミジアとは?!

腟カンジダによる腟炎と、性器クラミジア(以降、クラミジア)による腟炎の原因の違いは以下の通りです。

腟カンジダの原因

カンジダ腟炎は、セックスを介さなくても発症することがあります。腟内には、カンジダ菌という真菌が常在しています。健康なときは、常在菌とのバランスが保たれているので、カンジダ菌が増えすぎることはありません。

体調を崩したり、妊娠などでホルモンバランスが乱れたり、抗生物質の使用によって常在菌のバランスが崩れてしまうと、腟内のカンジダ菌が増殖してしまいカンジダ腟炎を発症してしまいます。

クラミジアの原因

クラミジアは、若い女性を中心に増えてきている性病(性感染症)です。クラミジアトラコマティスと呼ばれる細菌が、セックスによって、子宮頸管、尿道などに感染してしまうことで発症します。
性器同士の接触がなくても、オーラルセックスによって、喉へ感染してしまうことがあります。セックス以外では感染する心配はありません。

腟炎の症状は原因によって違う!?

腟カンジダ腟炎もクラミジアも、腟に炎症を起こす病気ですが、症状はそれぞれで異なります。

腟カンジダの症状

カンジダ腟炎の主な症状は、多量のおりものと、外陰部の非常に強い痒みです。炎症が強いと、痛みを感じてしまうこともあります。カンジダ腟炎を発症した場合のおりものは、通常より白く、カッテージチーズのような白くポロポロしたおりものになるのが特徴です。

クラミジアの症状

女性の場合は、おりものが増えたり、おりものに少量の出血が見られることがあります。炎症が腹部にまで広がると、腹痛などの症状が現れます。クラミジアは、自覚症状がほとんどないのが特徴です。症状に気づかずに放置してしまい、卵管や子宮、骨盤内にまで感染が広がることがあります。そうなると、妊娠ができなくなったり、子宮外妊娠のリスクが高まってしまいます。

治療法の違い

症状と同じように、治療方法も腟カンジダとクラミジアで変わってきます。それぞれの腟炎による治療法を見てみましょう。

腟カンジダの治療

カンジダ腟炎はカンジダ菌が原因で発症するので、腟に抗真菌薬を入れるのが一般的な治療法になります。外陰部にも抗真菌性の軟膏を塗り、大半は数日で症状が治まるといわれています。
ただし、症状が治まっていてもカンジダ菌が腟内に残っている可能性があります。症状がなくなっても、最後まで医師の指示通り治療を続けましょう。

クラミジアの治療

クラミジアの治療法は、抗生物質の経口投与となります。一般的には1週間くらいで完治するといわれていますが、クラミジア感染症の場合は、パートナーにも感染している可能性があります。パートナーもきちんと検査を受け、陽性反応が出たら治療をしましょう。

カンジダ・クラミジアが原因の腟炎を予防するには?

腟カンジダとクラミジアは以下の方法で予防していきましょう。

腟カンジダの予防法

カンジダは腟内に常在している真菌です。本来なら、カンジダが腟内にいても何ら問題になることはありません。しかし、疲れが溜まっている、睡眠不足、風邪をひいた、など免疫力が低下しがちなときにカンジダが異常増殖を起こすことがありますが、このような状態になると陰部のかゆみや熱感などの症状が引き起こされます。これが膣カンジダの正体です。

また、陰部が不衛生な状態でもカンジダが異常増殖することもあります。
このため、腟カンジダを予防するには、しっかりと休息を取って、生活習慣を見直すこと、陰部を清潔に保って通気性の良い下着や衣類を着用し、陰部を蒸らさないことが大切です。

クラミジアの予防

クラミジアは性行為によって感染する性感染症の一種です。このため、感染を予防するにはコンドームの使用を徹底するしかありません。特に、不特定多数の人と性交渉を持つ人や性産業に従事している人は注意が必要です。

また、クラミジアは女性では特に目立った症状が出ないこともあり、感染に気づかないままパートナーに感染させてしまうこともあります。心当たりのある人は定期的に検査を受けるようにしましょう。

感染がわかった場合は、症状がなくても必ず抗生物質を処方してもらい、最後まで飲みきって体内のクラミジアを完全に退治するようにしましょう。症状がないからといって治療を行わなかったり、治療を途中でやめてしまうと、感染を広げる可能性があるので注意が必要です。

おわりに:どちらの腟炎も治療が必要。違和感があれば、迷わず受診しましょう

腟炎によって痒みに悩まされたりするのは、決して楽なものではありません。また、腟炎によって不妊や子宮外妊娠になってしまう可能性もあります。おりものや痒みなどに少しでも違和感があれば、病院に行って診てもらいましょう。

※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。

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