記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/11/28
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
血液の癌の一種として知られる「悪性リンパ腫」。悪性リンパ腫を発症すると、どのような症状が現れるのでしょうか。兆候と治療法を併せてご紹介していきます。
悪性リンパ腫は、白血病や多発性骨髄腫と共に、血液の三大悪性腫瘍の一つと言われる疾患です。
悪性リンパ腫を発症すると、血液の中や全身のリンパ系組織をめぐっているリンパ球と呼ばれる細胞が異常な増殖を起こすことによって、首やわきの下、足の付け根にあるリンパ節が腫れたり、身体の一部に痛みの無いしこりが生じます。発熱や発汗、全身の倦怠感、体重の減少などの症状にも悩まされることもあります。
悪性リンパ腫ができる原因は未だに解明されていませんが、ほかの癌と同様、家族や親類に同様の病気に罹った人がいるなど、染色体の異常や遺伝子の変異などの遺伝的な要因が疑われています。C型肝炎ウイルスやピロリ菌などウイルスや細菌への感染が原因という説も有力視されていますが、いずれも確証は得られていません。原爆で白血病を発症する人が増加したのと同様、放射線の影響という説や、特定の化学物質などが原因という説も取り沙汰されていますが、これらもあくまで一つの説という段階で、悪性リンパ腫が発生する正確な原因は突き止められていないのが現状です。
確たる原因がわからないため、発症リスクによる注意ができないことや、兆候や初期症状がわかりにくいこともあって、悪性リンパ腫は早期発見がむずかしい癌の一つと言われます。特徴的な症状として、首やわきの下、足の付け根などのリンパ節の腫れや身体の一部に発生するしこりがありますが、これらに痛みが無いことも、初期症状が見過ごされやすくなる要因の一つです。
ほかに全身の倦怠感、発熱、一晩でパジャマや寝具を変えなくてはならないほどの大量の発汗、身体の痒みや発疹がみられることもあります。なお、こういった全身症状はB症状と呼ばれており、この段階では悪性リンパ腫がかなり進行してしまっていることが考えられ、その前に治療を開始することが重要とされています。
また、胃や大腸などの消化管にもしこりや潰瘍が発生したり、気管や食道の近く、肝臓や脾臓などの臓器が腫れることもあります。
悪性リンパ腫は、腫れているリンパ節やしこりをメスで切除し、顕微鏡で見る生検と呼ばれる検査によって診断します。悪性リンパ腫はホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫に分かれており、日本人に多いのは非ホジキンリンパ腫と言われます。
治療方針は病型や病気の進行度合いによって決められ、抗がん剤による化学療法、放射線療法、モノクローナル抗体療法、造血幹細胞移植といった方法があります。手術などの外科的な治療が行われることはほとんどありませんが、特定の部位に発生した症状を和らげるために、部分的な外科手術が行われることがあります。
なお、悪性リンパ腫は、比較的放射線や抗がん剤が効果を発揮しやすいと言われ、双方をうまく併用することで寛解と呼ばれる治癒に近い状態に導くことも可能と言われています。その場合、放射線や抗がん剤治療に付きものの副作用と戦う体力が必要と言われ、それらの面のケアや、QOL(生活の質)を考慮することも重要視されています。
早期発見が難しいとされる悪性リンパ腫。リンパ節の腫れやしこり、そして大量の発汗などの異変を見逃さず、早めに病院を受診することが大切です。