骨腫って、どんな病気なの? 症状や治療法は?

2017/11/29

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

骨の組織にできる腫瘍・「骨腫」。この骨腫とは、いったいどんなものなのでしょうか?概要や診断方法、治療法など幅広く解説していきます。

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骨腫とは?

骨腫とは骨腫瘍のことをいいます。骨に生じた異常な細胞が増殖することによって発生するのですが、最初から骨にできる場合と、別の部分にできたものが骨に転移することで骨腫になる場合があります。

骨腫には良性と悪性の2種類があり、それぞれでさらに細かく種類や症状が分岐します。たとえば良性の骨軟骨腫であれば、表面に腫瘍ができるためかたい塊が突出してきますし、内軟骨腫であれば骨の中心部に腫瘍が生じるので、それが大きくなっていくと痛みを伴うことがあります。つまり骨と言ってもどこの部分にできるかで症状は変わってくるのです。

一方、悪性の場合にはいわゆる癌という扱いになります。もっとも多く見られるのが多発性骨髄腫で、これは骨髄に発生する癌です。次が骨肉腫で、異常な骨細胞を増殖させるタイプの癌です。激しい痛みや腫れを引き起こし、その部分が熱を持つようにもなります。悪性の骨腫の場合は、早急に治療を行わなければ、脚や腕の切断を余儀なくされるケースもあります。

骨腫の診断はどうやって行うの?

関節や腕、脚などの痛みが続く場合にはX線検査を行います。骨が隆起していたり、ぼこぼことしていたり、あるいは抜けて見えたりしたときに骨に何らかの異常があることを疑います。しかし、このX線検査では骨に異常があることはわかっても、骨腫が良性なのか悪性なのかまでは特定できない場合があります。もしもX線検査で詳細が判断できない場合には、CT検査やMRI検査などの精密検査を行います。

癌の疑いがある場合には生検を行います。腫瘍に針を刺し、一部の細胞を吸引することでサンプルを採取し、癌かどうかを探っていきます。しかし、生検では確実に採取することができるというわけではないので、時には手術を必要とする場合があります。また、生検と同時に腫瘍を治療する手術を行う場合もあり、検査方法や診断方法は一定ではないと言えます。

どんな治療法があるの?

基本的に良性の骨腫の場合は、経過観察でも良いとされています。しかし良性だったとしても、骨が変形し痛みを伴う場合もあるので、専門的な治療が必要なこともあります。例えば腫瘍が大きくなり続け、骨や関節を破壊してしまう恐れがある場合には、手術によって腫瘍の切除や欠損部の充填をするための骨移植を行わなければなりません。つまり良性だとしても、医師のもとで経過観察を続けていくことが大切です。

一方、骨腫が悪性の場合は、転移によって他の部分にも悪性腫瘍ができる恐れがあるので、治療が複雑化するものがほとんどです。悪性骨腫の中でもっとも多いと言われる多発性骨髄腫であれば、化学療法や放射線療法、あるいは手術によって治療していきます。

おわりに:骨腫は良性でも治療が必要になる可能性がある

骨腫には良性のものと悪性のものがありますが、良性の腫瘍であっても症状によっては治療が必要となります。種類や重症度に応じた、適切なケアを続けていくことが大切です。

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