骨腫には良性のものと悪性のものがあるって本当?!

2017/12/5

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

「骨腫」とは、骨に発生する腫瘍のことですが、この骨腫には良性のものと悪性のものがあります。今回はこの2つの骨腫の特徴や、それぞれの治療法についてご紹介していきます。

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骨腫とその症状について

骨腫とは骨に発生する腫瘍のことをいい、良性のものと悪性のものとに分類することができます。骨腫のほとんどは良性のものですが、ごく稀に悪性のものがあります。膝や股関節の周囲にできることが多く、手の骨などにもできやすいとされています。

代表的な症状としては、運動をしている時の痛みや、歩いている時の違和感などがあります。痛みの程度は軽いことが多く、痛みが強くなることもありません。ただし中には激しい痛みを感じる場合もあります。また骨が隆起するといった症状が現れることもあります。また、骨腫ができている部位の骨が脆くなって、ちょっとした衝撃を受けただけで骨折してしまうケースもみられます。

良性の骨腫「良性骨腫瘍」とは?

良性骨腫瘍は腫瘍の中でも、転移することはなく生命の危険性はないもののことをいいます。20以上の種類がありますが、発生する原因は明らかになっていません。ただし、良性骨腫瘍は生命を脅かす腫瘍ではないものの、治療が必要になる場合があります。

良性骨腫瘍は痛みや日常生活への支障がない場合、医療機関を受診することもないので、発見されないままのケースも多いです。また、骨折によって腫瘍が発見されるケースもあります。腫瘍が出来ている部分は骨が脆く折れやすくなっているため、転倒などちょっとした衝撃で骨折してしまいやすいからです。骨が隆起するような骨腫の場合には、筋肉や靭帯と摩擦を起こして痛みが生じることもあります。

悪性の骨腫「悪性骨腫瘍」とは?

悪性骨腫瘍とは、転移することがあり、生命を脅かす危険性のある腫瘍のことをいいます。悪性骨腫瘍には、骨そのものに発生する原発性のものと、他の部位から転移した転移性のものがあります。

原発性骨腫瘍は膝や股関節、肩などにできやすいとされており、10代で発症することが多いと言われています。発生する原因ははっきりとは分かっておらず、痛みや腫れが生じて、徐々に強い痛みや腫れがひどくなっていくのが特徴です。痛む部分は熱を持っているので、触ると熱く感じます。

一方、転移性骨腫瘍は、肺癌や乳癌など他の部位にできたがん細胞が、血液やリンパなどによって骨に運ばれることが原因で発症します。脊椎にできることが多いのが特徴です。

どうやって治療するの?

良性骨腫瘍の場合、痛みがなければ特に治療の必要はありません。ただし、痛みや骨折などの危険性がある場合には、骨に出来ている腫瘍を掻き出して他の部位から骨を移植したり、人工骨を移植したりします。また腫瘍によって骨が隆起している場合には、その部分を切除する手術を行うこともあります。

悪性骨腫瘍の場合には、病巣を手術によって切除する治療法や抗がん剤を用いる化学療法などがあります。なお、良性骨腫瘍を切除する時には病巣部分を掻き出すように切除しますが、それだと悪性の場合には再発しやすくなってしまうため、悪性の病巣を切除する時には、がん細胞を刺激しないように正常な組織で病巣をくるむように切除する方法がとられます。

おわりに:良性骨腫瘍か悪性骨腫瘍かで、症状や治療方針は異なる

良性骨腫瘍か悪性骨腫瘍かによって、痛みの有無やリスク、治療方針などは異なります。どちらの骨腫か把握したうえで、適切な治療を選択していくことが肝心です。

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