唾液腺炎とは ~ 耳の下あたりに腫れや痛みを感じたら ~

2017/11/30

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

耳の下あたりに腫れや痛みがあったり、発熱がみられたりする場合、「唾液腺炎」を発症しているかもしれません。以降で具体的な症状や原因、治療法について解説していきます。

唾液腺炎とは

唾液腺は、人間の口や顎の周囲にある唾液を分泌する腺のことで、耳の前下方にあり三角形をしている「耳下腺」、下顎の下にあり楕円形をしている「顎下腺」、舌下の顎部分にあって細長い扁平形状をしている「舌下腺」の3つに分けられます。そして唾液腺炎とは、何らかの原因によってこれら唾液腺に炎症が起こる病気を指します。

唾液は、上記の3つの唾液腺から唾液腺管という細管を通って口内に出てきます。その分泌量は1日1L以上といわれており、唾液には抗菌作用、消化作用、味覚作用、洗浄作用があります。しかし唾液腺が炎症を起こすと唾液が分泌されなくなり、これらの作用が衰えるようになります。すると口内が乾燥して細菌が増殖し、口臭が強くなったり、虫歯や歯周病の一因となったり、味覚異常となったりする場合もあります。

唾液腺炎の原因

唾液腺炎の原因は、おおまかにウイルス性と細菌性の2つに分けられます。

ウイルス性唾液腺炎は流行性耳下腺炎とも呼ばれる、いわゆるおたふくかぜのことです。原因は「ムンプスウイルス」というウイルスで、せきやくしゃみなどウイルスを含む唾液の飛散や、ウイルスがついた手などを介して感染します。特に耳下腺、顎下腺へ感染し、感染力は非常に強いものです。

一方の細菌性唾液腺炎は化膿性唾液腺炎とも呼ばれ、口のなかに常在する細菌によって感染します。具体的には、加齢やストレスなどにより唾液の分泌が少なくなり、口内の水分が不足することで増殖した細菌が、唾液腺管より唾液腺に入ってしまうことで起こります。

また、症例としては少ないですが、唾液腺の中にできる石(唾石)によって唾液の分泌が妨げられた場合や、特に子供では唾液腺自体の異常(唾液管末端拡張症腺)が原因となって発症することもあります。

唾液腺炎の症状

ウイルス性の唾液腺炎の症状としては、口臭、発熱、頭痛、耳下腺の腫れなどがあげられます。また症例は少ないですが、顎下腺が腫れる場合もあります。良好であれば通常は2週間前後で回復しますが、悪性化すると大人では睾丸炎や卵巣炎などを併発したり、子供では難聴などの神経症状が出る場合もあるので、注意が必要です。

一方、細菌性唾液腺炎の症状としては、唾液腺の痛みや腫れがあります。また、炎症が起きている側(数日遅れて両側に発症する場合もあります)の耳下腺が腫れて、唾液が出る管である導管から膿が出てくることもあります。放っておくと慢性化して唾液腺自体が硬化し、唾液を分泌する能力が低下したり、また唾石となって現れたり、急性耳下腺炎の再発を繰り返したりする場合もあります。

唾液腺炎を治すためには

ウイルス性唾液腺炎には特別な治療薬がないため、水分をとって安静にし、熱が引かない場合は解熱剤や冷湿布を併用する対症療法が中心となります。またうがいの励行とともに、他人への感染を防ぐため、発症後しばらくの間は外出を控えることが望ましいです。外出をするのであれば、口内症状だけでなく全身症状もなくなってからにしてください。

細菌性唾液腺炎の場合は、細菌に有効な抗菌薬を服用し、安静にして回復を待ちます。口内にできた膿が重症である場合は、医師の判断の上で唾液腺管から口内を洗浄する場合もあります。また慢性化して唾液腺管が閉塞気味である場合は、口内を清潔に保つ目的で、抗菌作用のある薬やうがい薬を併用したり、人工唾液を使用する場合もあります。

おわりに:唾液腺炎の原因や治療法は種類によって異なる

唾液腺炎にはウイルス性のものと細菌性のものとがあり、それぞれで発症原因や治療法は異なります。特に細菌性唾液腺炎は慢性化するリスクがあるので、唾液腺の痛みや腫れなどに気づいたら、早めに病院で治療を受けることが大切です。

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