唾液腺炎は何が原因で起こるの?治療するにはどうすればいい?

2017/11/30 記事改定日: 2019/3/15
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山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

耳の下あたりに腫れや痛みがあったり、発熱がみられたりする場合、「唾液腺炎」を発症しているかもしれません。以降で具体的な症状や原因、治療法について解説していきます。

唾液腺炎とは

唾液腺は、人間の口や顎の周囲にある唾液を分泌する腺のことで、耳の前下方にあり三角形をしている「耳下腺」、下顎の下にあり楕円形をしている「顎下腺」、舌下の顎部分にあって細長い扁平形状をしている「舌下腺」の3つに分けられます。
そして唾液腺炎とは、何らかの原因によってこれら唾液腺に炎症が起こる病気を指します。

唾液は、上記の3つの唾液腺から唾液腺管という細管を通って口内に出てきます。その分泌量は1日1L以上といわれており、唾液には抗菌作用、消化作用、味覚作用、洗浄作用があります。しかし唾液腺が炎症を起こすと唾液が分泌されなくなり、これらの作用が衰えるようになります。

すると口内が乾燥して細菌が増殖し、口臭が強くなったり、虫歯や歯周病の一因となったり、味覚異常となったりする場合もあります。

唾液腺炎の原因は?

唾液腺炎の原因は、おおまかにウイルス性と細菌性の2つに分けられます。

ウイルス性

ウイルス性唾液腺炎は流行性耳下腺炎とも呼ばれる、いわゆるおたふく風邪のことです。

原因は「ムンプスウイルス」というウイルスで、せきやくしゃみなどウイルスを含む唾液の飛散や、ウイルスがついた手などを介して感染します。
耳下腺、顎下腺へ感染することが多く、感染力は非常に強いです。

細菌性

細菌性唾液腺炎は化膿性唾液腺炎とも呼ばれ、口のなかに常在する細菌によって感染します。
加齢やストレスなどにより唾液の分泌が少なくなり、口内の水分が不足することで増殖した細菌が、唾液腺管より唾液腺に入ってしまうことで起こります。

病気が原因のことも

唾液腺炎は唾液に引き起こされる特徴的な病気が原因になることがあります。
代表的な病気としては、「唾石症」と「シェーグレン症候群」が挙げられます。

「唾石症」は唾液の塊が石灰化した結石が生じる病気です。唾液の排出路である唾液管を閉塞すると唾液が唾液腺に過度に貯留し、その内部に細菌感染を引き起こして唾液腺炎を発症することがあります。

一方、「シェーグレン症候群」は自己免疫の異常による病気の一種で、自己抗体が唾液腺や涙腺を攻撃して炎症を引き起こす病気です。唾液腺や涙腺に慢性的な炎症が加わるため、機能が低下して唾液や涙の分泌量が低下するのが特徴です。

また、その他にも、倦怠感などの全身症状や腎炎、皮疹など多様な症状が見られることがあります。

唾液腺炎の症状と症状の経過

ウイルス性の唾液腺炎の症状としては、口臭、発熱、頭痛、耳下腺の腫れなどがあげられます。また症例は少ないですが、顎下腺が腫れる場合もあります。

良好であれば通常は2週間前後で回復しますが、悪性化すると大人では睾丸炎や卵巣炎などを併発したり、子供では難聴などの神経症状が出る場合もあるので、注意が必要です。

一方、細菌性唾液腺炎の症状としては、唾液腺の痛みや腫れがあります。また、炎症が起きている側(数日遅れて両側に発症する場合もあります)の耳下腺が腫れて、唾液が出る管である導管から膿が出てくることもあります。
放っておくと慢性化して唾液腺自体が硬化し、唾液を分泌する能力が低下したり、また唾石となって現れたり、急性耳下腺炎の再発を繰り返したりする場合もあります。

唾液腺炎を治すためには

ウイルス性唾液腺炎には特別な治療薬がないため、水分をとって安静にし、熱が引かない場合は解熱剤や冷湿布を併用する対症療法が中心となります。
またうがいの励行とともに、他人への感染を防ぐため、発症後しばらくの間は外出を控えることが望ましいです。外出をするのであれば、口内症状だけでなく全身症状もなくなってからにしてください。

細菌性唾液腺炎の場合は、細菌に有効な抗生物質を服用し、安静にして回復を待ちます。口内にできた膿が重症である場合は、医師の判断の上で唾液腺管から口内を洗浄する場合もあります。

また慢性化して唾液腺管が閉塞気味である場合は、口内を清潔に保つ目的で、抗菌作用のある薬やうがい薬を併用したり、人工唾液を使用する場合もあります。

おわりに:唾液腺炎の原因や治療法は種類によって異なる

唾液腺炎にはウイルス性のものと細菌性のものとがあり、それぞれで発症原因や治療法は異なります。特に細菌性唾液腺炎は慢性化するリスクがあるので、唾液腺の痛みや腫れなどに気づいたら、早めに病院で治療を受けることが大切です。

※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。

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