記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/11/30
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
野球ひじは野球の投球動作を繰り返すことによるひじへの負担が主な原因です。重症化すると手術が必要になることもあるため、早期の治療が重要になってきます。この記事では、野球ひじの種類と治療方法について解説しています。
野球ひじは、繰り返しボールを投げることによってひじに過剰な負担がかかって起こる「オーバーユース症候群」です。
使い過ぎによりひじの関節内部に炎症、骨や軟骨の損傷などを起こして痛みが生じ、ひどくなるとひじの曲げ伸ばしが難しくなったり、動かせなくなることもあります。
特に成長期の小中学生に多くみられ、小学生の野球選手の20%が野球ひじを発症するともいわれています。これは、小中学生ではまだ骨が完成しておらず、特に関節付近には弱い成長軟骨があることなどから起こります。繰り返しひきのばされる靭帯や、同じ動作でぶつかり続ける骨が軟骨を傷つけてしまいます。
野球ひじには、ひじの内側に起こる「内側側副靭帯損傷(内側型野球ひじ)」と、外側に起こる「離脱性骨軟骨炎(外側型野球ひじ)」の2種類があります。
内側型野球ひじが圧倒的に多く、特に野球少年に多くみられます。投球動作によって靭帯が繰り返し引きのばされると同時に成長中の軟骨に負荷がかかり、靭帯や腱、軟骨が痛みます。重症化すると関節の上の骨が剥離骨折を起こします。外側型は、ひじの上と下の骨がぶつかり続けることで骨の表面にある関節軟骨を傷つけ、骨や軟骨が壊れはがれるなどして痛み、進行すると手術が必要となります。後方では「疲労骨折」なども起こります。
内側型で炎症や腫れのある場合は、必要に応じアイシングを行って安静にします。一週間程度で症状が回復してくる場合も多く、その場合には筋力トレーニングやストレッチ、フォームの矯正などを行って再発を防止します。
外側型はほとんどが小学生の頃に発症し、治しておかないとひじの変形や曲げ伸ばしができなくなる場合があり手術が必要です。手術法としては、古くから行われている骨を切って留め直す「骨切り法」、傷んだ部分を取り出してドリルにより骨髄から修復細胞を送る「ドリリング法」、傷みが広いときや学年が高い場合には他の関節から軟骨を採取して埋め込む「骨軟骨移植」があります。
野球ひじは特に小学生に多い病気で、早期発見が早期回復の鍵になります。痛みや違和感などがあれば、マッサージなどで済ませずに、早めにきちんと検査することが大切です。ひじの曲げ伸ばしの角度が悪くなった、痛みが続く、引っかかる感じがする、といったときには、すぐに受診しましょう。進行してしまうと、しばらく投球できないばかりか野球そのものを続けられなくなる可能性もあります。
自覚症状がない場合も多いことから大きな痛みでなくても違和感を感じたら早めに病院で検査してもらうようにしましょう。連投の禁止や投球イニング数の制限などを守ることはもちろん、予防のためのストレッチや正しいフォームの習得することも大切です。
ひじの痛みや違和感は、「使い過ぎ」のサインです。使い過ぎたひじはやがて大きな故障を起こしてしまいます。特に成長期に放っておくと、将来に影響する骨変形を合併してしまうかもしれません。早めに専門医に相談するようにしましょう。