記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/12/6 記事改定日: 2019/11/26
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
空気嚥下症(呑気症)とは、知らず知らずのうちに無意識に空気を飲み込んでしまうことです。空気を大量に飲み込むことになるので、げっぷやおならの回数が増え、腹部棒満感などの症状が現れるようになります。今回は空気嚥下症の原因と対処法について解説していきます。
空気嚥下症とは、唾液と一緒に無意識に空気を飲み込む量が増えてしまうことで起こる病気です。
どんな人でも食事の際には食べ物と一緒に空気を飲み込んでいますが、空気嚥下症の人は食事以外のときでも関係なく無意識に大量の空気を飲み込んでしまっています。
そのため、げっぷ、腹部膨満感、吐き気などの症状が現れます。
この病気はストレスや口呼吸などがおもな原因であり、「噛みしめ呑気症候群(噛みしめる動作によって肩こりや頭痛の症状が現れる)」が併発することがあります。
空気嚥下症は
といった、「精神的に不安定な状態」のときに現れやすいといわれています。
ただし、空気嚥下症の原因はすべて明らかにされているわけではなく、精神的な原因以外にも、呼吸不全や心不全などの病気、早食い、姿勢の悪さ、口呼吸などが関係していることもあります。
空気嚥下症になると、腹部膨満感、げっぷ、おなら、吐き気などの症状が現れます。
これはたくさんの空気を飲み込むことで現れた上腹部の不快感を緩和するために、飲み込んだ空気をげっぷやおならで外へ出そうとするからです。
ただし、げっぷやおならをしても腹部の膨満感が軽減するとは限りません。
空気嚥下症で病院にいくと、まず胃の状態などを問診で確認した後、腹部X線(レントゲン)やCT、胃X線造影、内視鏡、腹部超音波などで胃の中に空気が入っているかどうかや胃の中の様子などを調べます。
検査で空気嚥下症と診断されたら、治療へと入ります。
治療方法は、まずこの病気について理解するための認知行動療法から始まります。そして、精神的に不安定な状態をなくすために気持ちを落ち着かせる、早食いをやめてゆっくり食べるなど生活を見直して病気を治療していきます。
空気嚥下症の一番の原因はストレスと考えられています。このため、症状を改善するにはできるだけストレスが少ない生活を送ることが望ましく、日常生活の中では、十分な休息や睡眠時間を確保すること、趣味の時間を持つことなどが必要です。
また、空気嚥下症は食事のスピードが速い人、噛み合わせが悪い人、歯ぎしりや歯の食いしばりの癖がある人なども発症しやすい病気です。日ごろから食事はゆっくり食べるよう心がけ、歯並びなどは歯科医院で相談して治療をするようにしましょう。
そして、おならやゲップを我慢すること自体がストレスとなり、余計に症状が悪化してしまうことも少なくありません。おならやゲップはトイレに立つなどしてできるだけ我慢しないようにしましょう。
空気嚥下症は空気を無意識に飲み込んでしまうことが原因ですが、なぜそのような行動をしてしまうかははっきりと分かっていません。しかし、ストレスやヒステリーなど精神的な要因を改善することで、症状が緩和・寛解することがあります。
まずは、精神が不安定になっていると感じたら、気持ちを落ち着かせるように心がけ、なるべく空気を飲み込まないように気をつけるようにしましょう。