記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/12/1
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
先天代謝異常症の一種であり、痛みや聴覚低下など多岐にわたる症状が現れる「ファブリー病」。今回の記事ではこのファブリー病について、具体的な症状や治療法、日常生活上の注意点などをお伝えしていきます。
ファブリー病は国が指定している難病のひとつ、ライソゾーム病の一種です。ファブリー病は先天代謝異常症の一種で、「α-GAL」という酵素が遺伝的に欠損していたり、機能が低下することによって引き起こされる疾患です。α-GALには「GL-3」と呼ばれる糖脂質を分解する機能がありますが、GL-3が十分に分解されないと、全身に蓄積されていきます。その結果、神経症状を始めとする様々な症状を発症します。
ファブリー病の症状は様々で、時期や症状の出方などに個人差がありますが、主な神経症状は、手足に激痛が走る四肢疼痛や聴覚障害です。また、角膜に混濁が現れたり、皮膚に赤紫色の発疹が出たり、あるいは発汗機能の障害によって低・無汗症になることもあります。他にも、胃腸障害や腎機能障害、心機能障害、脳血管障害、うつ症状などの精神障害などが現れることもあります。
ファブリー病の治療法には、欠損した酵素を補う酵素補充療法と、それぞれの症状に合わせて治療を行う対症療法があります。
酵素補充療法は、症状の改善や病気の進行を抑えるのに効果的です。現在日本で認められている治療薬は2種類ありますが、決められた量を点滴で補充します。点滴後、まれにアレルギー反応などの症状が出る場合があるので、その場合は直ちに周辺の医師や看護師に伝えるようにしてください。
また、対症療法では痛みなどの症状を緩和する薬剤を投与します。それに加えて、ストレスを避けたり食事内容に気を付けるなど、生活習慣の改善が必要となる場合があります。
ファブリー病の症状のひとつである疼痛発作は、ストレス、疲労、温度や湿度の急激な変化などによって起こると考えられています。そのため、原因となる状況を避けることが大切です。また、腎臓機能に障害が出る可能性もあるので、塩分やタンパク質は摂りすぎないように気を付けましょう。
2004年に酵素補充療法が導入されて以来、臓器障害の進行を抑えることが可能になり、ファブリー病患者の予後の改善が見受けられます。ただし、未だ残念ながら全ての症状に効果があるというわけではありません。特に病が進行してしまっている場合は、治療の効果が十分得られないこともあります。
そのため、ファブリー病は早期に発見し、治療を始めることがとても大切です。ファブリー病は症状が様々な為、診断するのに時間が掛かってしまう場合もあります。少しでも気になることがあれば、なるべく早めに医療機関を受診するよう心掛けましょう。