記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/11/30 記事改定日: 2018/6/26
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
尿路感染症は尿路に感染が起こる病気ですが、どのような特徴があるのでしょうか。この記事では、尿路感染症の種類ごとの症状の違いや、危険な症状などを解説していきます。
いざというときに見逃さないように、この機会にきちんと覚えておきましょう。
尿は腎臓で作られ、尿路を通って体外に排出されます。尿路は尿管から膀胱、そして尿道へとつながっています。尿路感染症というのは、これら尿路全体に炎症を起こした状態です。
本来、尿は無菌の状態であり、尿が排出されるまでの通り道となる膀胱や尿道も無菌状態となっています。ところがこの尿路に何らかの原因で細菌が入り込むと、尿路感染症を引き起こすようになります。尿路感染症は大人だけでなく、子供がかかることもあります。
尿路感染症は大きく分けて、「下部尿路感染症」と「上部尿路感染症」の2つに分類されます。
下部尿路感染症の場合は膀胱炎・尿道炎、上部尿路感染症の場合は腎盂腎炎などが該当しますが、尿路のどの部分が細菌感染で炎症を起こすかにより診断は変わります。また、下部か上部のいずれかだけの症状が出る場合もあれば、両方に炎症が起きることもあります。尿路感染症には複数種類があり、医師でも診断が難しい疾患の一種です。
尿路感染症は、膀胱炎、尿道炎、腎盂腎炎など種類によって現れる症状が異なります。
膀胱炎とは、大腸菌などの細菌が尿道から入り込んで起きる膀胱の炎症です。膀胱までの距離が短い分、男性よりも女性がなりやすいとされています。症状は排尿時の痛みや血尿、残尿感などです。
尿道炎は男性に多く見られる症状で、性行為によるクラミジア感染が発症原因であることが多いです(淋菌が原因になるケースもあります)。主な症状は排尿時の痛みで、尿道から膿が出ることもあります。
腎盂腎炎は、尿路感染症の中でも最も症状が重いもので、主な原因菌は大腸菌です。発症するとわき腹の痛みや発熱、悪寒といった症状が現れます。腎盂腎炎になると敗血症のリスクが上がるので注意が必要です。
尿路感染症は軽度なうちに適切な治療を行わないと、腎盂腎炎へ移行することがあり、場合によっては敗血症から死に至ることもあります。
このため、発症初期の症状を見逃さずに病院を受診するようにしましょう。
初期の尿路感染症の兆候には次のようなものがあります。
また、尿路感染症が進行して腎盂腎炎を発症した場合には、可能な限り早く病院を受診する必要がありますが、次のような症状が現れたら注意が必要です。
尿路感染症は、基本的に抗生物質による治療が主流です。
まず、膀胱炎と腎盂腎炎の場合は、抗生物質による薬物治療のほか、こまめな水分補給を心がけ利尿を促すことが大切です。なお、腎盂腎炎では高熱が続くこともあり、脱水状態を起こしてしまった場合は入院をして点滴治療が必要になることもあります。
尿道炎の場合は原因菌が複数にわたるため、原因菌によって使用する抗生物質の種類が異なります。いずれも処方された薬は、医師の指示に従い正しく服用することが大切です。
膀胱炎、尿道炎、腎盂腎炎など、尿路感染症にはさまざまな種類があります。いずれも基本的な治療法は同じですが、種類によって現れる症状が少しずつ異なるので、排尿痛やわき腹の痛み、発熱など、気になる症状がみられたら早めに病院を受診しましょう。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。