記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/12/4 記事改定日: 2019/7/2
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
腹痛や嘔吐、吐き気などの症状がみられた場合、「ただの胃腸炎だろう」と自己判断してしまう方は少なくありませんが、「腸閉塞(イレウス)」という病気の可能性もあります。詳しい症状や兆候、治療法について、以降で解説していきます。
腸閉塞(イレウス)とは、食べ物などの通り道である腸に何らかのトラブルが起き、ものが通りにくくなったり全く通れなくなる病気です。
腸が詰まることで食べ物の通り道が阻害されるので、同じ場所に食べ物が留まり、お腹の痛みが出たり、吐き気がしたりします。
腸閉塞(イレウス)は色々な病気が原因で起こる病気で、腹痛と吐き気、嘔吐が見られる場合に疑われることが多いです。
腸閉塞は腸の中で食べ物が詰まったときに急に症状が起こります。
が主な症状で、食べ物が詰まっている部位の腹部の張り感があらわれ、外から見ても膨らみがわかることもあります。
腸閉塞のときの腹痛の特徴は、非常に痛む状態と痛みが和らぐ状態を繰り返すことです。
腸の詰まりがひどくなると腸の内容物が逆流して嘔吐が始まります。腸が詰まるので排便や排ガスは起こらず、腹部の腸の蠕動運動の音が聞かれなくなります(ただし初期では出口近くの便が出ることがあります)。
また、嘔吐や腸内での水分や電解質の漏出による脱水も伴います。
なお、腸がねじれるタイプの腸閉塞もあり、この場合には継続的に激しい痛みが続き、次第に顔面蒼白、冷や汗がみられショック状態になることがあり、腸の血管がねじれることで血流が止まり腸の一部が壊死してしまうこともあります。
腸閉塞では次のような兆候が見られます。腸閉塞は発見や治療が遅れると、重篤な状態になることもあるので当てはまる兆候がある場合にはできるだけ早く病院を受診しましょう。
また、このほかにも発熱や激痛のための冷汗などがある場合は、腸管の一部が捻じれることによって発症する「絞扼性腸閉塞」など緊急での手術を要する腸閉塞の可能性も否定できません。このような場合には特にできるだけ早く病院に行くようにしましょう。
腸閉塞の治療の基本は保存療法です。食べ物はもちろん水分も腸内に入れないことで腸の安静を保ち、腸の腫れが引くのを待ちます。
病状が進行してしまっているときには、イレウス管というチューブを使い、詰まっている内容物を取り出す治療を行います。症状が落ち着いてくると、詰まったものの残りは自然と腸に吸収されていくようになります。
この治療をしている期間中は、水分や栄養分、必要な電解質の補給は輸液で補います。治療後に排ガスや排便があれば、腸閉塞が治癒したサインとなります。
もしそれでも病状が改善しない時には、開腹して詰まった部分を治す手術療法が行われます。
なお、腸がねじれて壊死を起こしてしまうような症例の時には、様子を見ていても治ることは少なく、すぐに治療しないと重篤な状態になるため、最初から手術療法が選択されます。
腸閉塞はタイプによっては、壊死につながってしまうリスクがあります。該当する症状がみられたら、まずは病院で検査を受けましょう。