慢性腎不全には、どんな治療法があるの?

2017/12/5

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

むくみや意識障害など、さまざまな症状を引き起こす恐れがある「慢性腎不全」。この慢性腎不全は、どのように治療していくのでしょうか?治療目的や治療法をまとめました。

慢性腎不全とは?

腎不全とは、腎臓の機能が低下して正常に働かなくなった状態のことを表します。その腎不全の中でも数ヶ月から数十年かけて腎機能が低下するものを慢性腎不全と呼びます。慢性腎不全では腎機能の回復は見込めないとされていて、症状が重い場合には末期腎不全へと進行することがあります。

慢性腎不全の原因として最も多いのは糖尿病であり、次に多いのは高血圧であるとされています。これらは腎臓の細い血管に直接損傷を与えることに繋がります。他の原因としては、自己免疫疾患である全身性エリテマトーデスなどが挙げられます。

慢性腎不全は初期のうちには自覚症状がないことが多く、知らず知らずのうちに進行してしまう恐れがあります。進行していくと疲労や呼吸困難などの症状が現れることもあります。

慢性腎不全は、どのように発症するの?

腎臓の機能が悪くなるのは、寝不足などの生活習慣、または糖尿病などの病気が原因であるケースが多いです。腎臓の働きが悪くなると、余分な塩分と水分の排泄が困難になります。塩分と水分の排泄がうまくできなくなると、血液の量は上がり、それを押し出す圧力を表す血圧が上昇します。すると血圧が上がることで腎臓への負担が増し、腎臓の機能がますます低下することになります。この悪循環が慢性腎不全発症のメカニズムです。

しかし、裏を返せば血圧のコントロールを行うことで、慢性腎不全の症状を緩和したり、進行を遅らせたりすることができる可能性があります。慢性腎不全で腎臓の働きが悪くなって血中のナトリウムが増えると、高血圧による合併症を引き起こしてしまうケースがあるので対処が重要となります。

慢性腎不全の治療目的とは?

先述のとおり、慢性腎不全では失われた腎機能が回復する見込みはほとんどないとされています。しかし、慢性腎不全を放っておくと症状が進行してしまうので、治療によって進行を予防することが重要となります。

また、慢性腎不全の治療には合併症の発症を抑える目的も含まれています。慢性腎不全の合併症には心臓病や脳卒中など生命に関わるものがあります。そのため、合併症を防ぐ意味での治療も非常に重要となります。

代表的な治療法とは?

慢性腎不全の治療では、薬物療法と食事療法を行うのが一般的です。薬物療法では降圧薬や利尿薬、エリスロポエチン製剤などを服用するケースが多いです。ただしこれらは腎不全を治す特効薬はないので、症状に対処することや腎臓への負担を減らす目的で処方されます。

食事療法では、塩分制限や適切な水分量の摂取が重要となります。塩分やカリウム、タンパク質を制限しつつもカロリーの確保を行う必要があります。タンパク質は体の組織を維持するためにある程度は必要なので、食べる量のバランスが重要となります。

おわりに:薬物治療だけでなく、自宅での食事療法も重要

慢性腎不全では腎機能自体の回復は見込めないため、症状の進行をとめ、合併症を防ぐことが治療の基本方針となります。病院での薬物治療だけでなく、日頃から積極的に水分を摂取したり、食事内容に気をつけたりすることも非常に重要です。

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